平成27年度政務活動視察研修を実施!

  平成28年1月28日(木)~30日(土)の3日間の日程で政務活動視察研修を実施しました。
今回は、渡良瀬遊水地がラムサール条約に登録されったこともあり自然との向き合い方の参考とするため豊岡
で推進している「コウノトリ野生復帰事業を核とした人と自然の共生する地域づくり」の取り組みについて
視察研修するとともに、今後の議会運営の参考とするため昨年実施された女性町長サミットで来町された京都
府与謝野町の太田 貴美(オオタ アミ)前町長様のご縁もあり与謝野町議会様を訪問し、議会基本条例並び
に議会報告会の実施状況等
について意見交換しました。
 豊岡市においては、豊岡市立コウノトリ文化館を訪問しました。
この施設は兵庫県立コウノトリの郷公園の敷地内に設置されています。
兵庫県立コウノトリの郷公園は1999年に開園し、コウノトリの野生復帰事業に取り組んできており、「野生
復帰を研究し実践する」をコンセプトに「種の保存と遺伝的管理」、「野生化の科学と実践」、「人と自然の共
生の普及啓発」の3つの機能を果たしています。
公園内では放鳥されたコウノトリを観察することが出来ます。

餌場での様子

餌場での様子

屋根上で羽を休める姿

屋根上で羽を休める姿

擬似巣

擬似巣

 








1971年に国内個体群が絶滅したあと、2005年からコウノトリの郷公園が実施してきた野生復帰事業によ
り、最後の生息地であった兵庫県北部の但馬地域を中心に、繁殖個体群が復活しつつあり現在、78羽が確認さ
れているとのことです。
 豊岡市立コウノトリ文化館は「人と自然の共生を考えるエコミュージアム」として設立され、館では「展示・
解説を見る・聞く」、「コウノトリを見る」、「ビオトープの生物調査などを体験する」、「自然観察会・講座
に参加する」、「調べる・質問する」、「出張講座・出張観察会」ができます。

飛翔

飛翔

羽ばたき

羽ばたき

採餌

採餌

 

 

 





 シアタールームで野生復帰の歴史のビデオ映像を観たあと関副議長様、上田尚志コウノトリ文化館長様から
「コウノトリの観光活用、農業、郷公園との関わりほか」豊岡市立コウノトリ文化館の位置づけと運営等につ
いて説明を受け、その後、質問に対する回答をいただきました。
・館の運営は指定管理としてNPO法人コウノトリ市民研究所に委託し、その費用は年間3,200万円であ
 り、その内2,000万円が人件費になっている。
 人数は5人であるが、役割分担からすると適正なものと認められている。
・コウノトリの野生化に当たっては市民の認識・理解が一致していないと実現できなかったと考える。
 餌が豊富に確保できなければ放鳥は困難であり、そのためには冬水田んぼによるだけでなく有機農法への農業
 の根本的な転換を図った。
 作り手の農家だけでなく消費者である市民の理解と協力があって初めて実現できたと思う。
・コウノトリはその習性から3歳までの間は営巣地以外の地を飛び回り、繁殖適齢年の4歳になると営巣地に戻
 ってくる。
 また、雛・幼鳥は親鳥の2倍程の餌を必要とするので、飛来地ではなく営巣地とするためには、餌の問題から
 なお更環境を整える必要がある。
 営巣地と飛来地とでは環境に差があっても大丈夫である。
・公園等で9ヵ所の営巣が確認されている。
 4~6月は田で採餌する。
 公園で餌をやっていることについて野生化という点ではどうかという指摘もある。
・認識票によりどの鳥がどこに飛来したかを把握している。
 全国的に広域で飛び回っているが、4歳になると必ず営巣地に戻ってくることが確認されている。

 翌日、京都府与謝野町議会を訪問し、議会改革の取り組みについて説明を受けたのち、意見交換を
行いました。
(与謝野町議会の概要)
・議員数は、条例定数16人であり、現議員数16人。
・議会は、年4回(3月、6月、9月、12月)定期的に開かれる「定例会」と、緊急に開かれる「
 臨時会」を開催。
・委員会は、総務文教厚生常任委員会(8人)、産業建設環境常任委員会(8人)、議会運営委員
 会(4人:定数7人)、議会広報特別委員会(7人)を設置。
 *副議長と3人以上の会派から各1人を選出。 
・全員協議会を全議員を対象に開催。
・会派制を採用しており、日本共産党与謝野町議員団(3人)、よさの21クラブ(3人)、与謝野
 新政クラブ(5人)、その他は無所属。

今田議長様、多田副議長様、伊藤議会運営委員長様、奥野議会事務局長様には、お忙しいところご対
応をいただきまして誠にありがとうございました。
以下の点を中心に議会改革について説明を受けました。
(1)地方自治法第96条第2項による議決事件の追加について
(2)議会主催の議会懇談会・議会報告会について

意見交換

意見交換

 

 

 

 



(説明概要等)
(1)について
・議会基本条例の第7条において条文化している。
 対象は、
 同条第1項において、「町の総合的、かつ、計画的な行政の運営を図るための基本構想及び基本計画
 第2項において、「町行政の各分野における政策及び基本的な方向を定める計画及び指針その他これに類す
 るものに関することで、議会が必要と認める計画。ただし、行政内部の管理に係る計画、特定の地域を対象
 とする計画及び計画期間が5年未満の計画を除くものとする。」
 と定めている。
・総合計画については、地方自治法上では必ずしも策定する義務はなくなったが、当町では策定することとし
 ている。
 そのこともあって、議決事項として規定したものであるが、対象として基本構想及び基本計画としたのは、
 基本構想は漠然としているため基本計画まで含め対象としたものである。
 *野木町議会基本条例においては同様に規定条文を定め、総合計画の基本構想のみを議決対象としています。
  上記と同じ考えから基本計画も含め議決対象とすべきとの意見を提起しましたが、とりあえず初めてのこ
  とでもあり、今後見直すこととしたらどうかという意見もあり、多数決で決し現条文となっています。
(2)について
・議会基本条例第4条の規定により議会懇談会を実施している。
 H24年度11ヵ所、25年度11ヵ所、26年度3ヵ所(3ヵ所はテーマを決めて実施)27年度24ヵ
 所(全地区)で実施した。
・今回(H27年度実施)は、「議会懇談会は町長主催の町政懇談会の二番煎じになっている」、「行政の後
 追いとなっており、議会でやるべき課題を明確にして実施すべきだ」、「基本条例に沿ってテーマを設けて
 やるべき」、「議論を深め、もっと行政に対案や提案を示していくべきだ」などという従来の議会批判とは
 違った前向きな意見も多く見受けられた。
・議会活動が見えるようにすることは大切であるという考えに立ち、今回町民から寄せられた意見・要望につ
 いて、議会から要望書という形で町長に提出した。
・対応体制は、4班構成で全員がいずれかの班に参加して対応した。
 なお、当日の準備などは各班が相互に応援して対応した。
・参加者数は、H24年度206人(11会場)、H25年度159人(11会場)、H26年度105人(3
 会場)、H27年度197人(24会場)であった。

(追記)
 ・豊岡市におけるコウノトリの野生化復帰の取り組みについては、市民全体の協力があって実現できたもので
  あり、この協力体制を構築することはまさに行政の仕事であると感じました。
  餌場を確保するために農業の在り方を根本的に変革した農業関係者の方々、その生産物である有機米に理解
  を示して消費に協力する消費者としての市民の皆さんなど、一体となった取り組みがあって野生復帰が実現
  できたものであり、この方向に向けた仕掛けづくりを行うのが行政の大きな役割であるようです。
  我が野木町における各種の取り組みについては、いかがでしょうか。
  例えば、煉瓦窯、交流センターを活用する観光の取り組みについて、町民全体の協力の下での取り組みにな
  っているのか疑問です。
  一体的な取り組みに持っていくためには、町民の理解と協力を得られるよう行政が積極的に働きかけを行っ
  ていくことが必要ではないでしょうか。
 ・議会改革については、今一度原点に立ち返り議会基本条例に定めた各条文の趣旨をよく理解し実践できてい
  るかを、各議員及び議会として再確認することが必要と思われます。
  議会の使命としては、二つ挙げられています。
  その第一は、議会は町の具体的政策を最終的に決定することです。
  現状では多くの政策は執行機関の側で作られ、議会に提案されていますが、議員は本会議等での質問、質
  疑、修正等を通して、政策形成過程に参画し、予算、契約、条例等の審議において最終的な政策の決定、
  すなわち町の意思決定を行っています
  その第二は、議会が決定した政策を中心に行う執行機関の行財政の運営や事務処理ないし事業の実施が、
  すべて適法・適切に、しかも、公平・効率的に、そして民主的になされているかどうかを批判し監視する
  ことです。
  この批判と監視は、非難でもなければ批評や論評でもなくあくまでも住民全体の立場に立ってなされる
  文字どおり正しい意味での批判であり、また、住民の立場に立っての監視であるべきです。
  議員は、以上のことを十分理解し、よくその職責をわきまえ、行動することが要求されています。
  その意味で、これらの原則を基に成文化したものが議会基本条例であることを認識することは、議会改革
  の取り組みを推進する上での必要条件と言えます。