平成27年3月定例議会(一般会計予算案 質疑)

 3月定例議会は3月4日から3月20日までの会期で開催され、平成27年度予算・事業計画などの重要案件を審議しました。予算については、賛成多数または全員賛成で可決しました。

 一般会計予算案の質疑については、①歳入②歳出第1款~第6款③第7款~第13款に分割して質疑が行われ、最終日に一括した総括質疑を行いました。

 私からは①について、歳入・歳出総額85億3千万円と町債13億7百50万円について、税収等の確保が厳しくなるとの予想の下において将来の財政運営と財政規律をどのように見通しているのか、を質しました。

 基本的に私個人としては、積極財政主義に立っています。家庭のやり繰りと違って行政の場合は、単に家庭で言う預貯金を増やせばよいというものではないと考えるからです。

 行政の役割は、町民にいかに良い行政サービスを効率的に提供するか、またそのために必要な事業を効果的かつ経済的に実施するかであり、このサービス提供や事業を控えればいくらでも預貯金に相当する基金等(現金)を増やすことは可能になりますが、この行政運営では、沈滞した魅力のない町を現出することになりかねません。  ただ単に予算額が多いから、また町債の発行額が多いから問題という認識にはなりません。財政運営と財政規律に点らして将来的に見通しを立てた計画に沿っている限りは問題ないと思います。

 企業では、剰余金の蓄えを勘案したうえで事業を発展させるために積極的に投資をします。この時には、剰余金が十分にあっても銀行からの借入金を活用します。

 行政運営に当たっては財政規律をチェックする指標が決められています。その一つが、町の借金の財政上の影響度を表す実質公債費率(%)です。この率が高いほど財政の弾力性が低下し、赤字団体になる可能性が高くなるのですが、野木町は平成24年度の値が4.4%、25年度が4.3%であり、27年度の町債の発行額が対前年度比6億5,180万円増額になっていますが、平成24年度県平均の値8.9%に比べてまだまだ低い値になるかと予想されます。

 北海道夕張市は財政破たんしたことで知られていますが、このケースではその値は、再生基準に該当する35%以上を示していたと想われます。また、最悪の再生基準になる前の悪化基準として早期健全化基準25%が定められており、この値になった自治体は国から対応を強制的に求められます。  次に②について、第9款教育費 第4項社会教育費 第1目社会教育総務費の(仮称)交流センター建設、運営事業 264,224千円について質しました。 質した項目は次の通りです。

  1. 昨年度の議論を経て、同施設等に関わる観光に関する基本方針を今年度、「水と緑と歴史のまちづくり構想」として策定することになったものであり、特にその議論の中で経済的効果と観光客の見込み数の予測が必要である旨の指摘があり、継続課題となったものと認識している。 策定された構想案では経済的効果及び観光客の見込み数の予測値は提示されていないが、その理由はなにか。
  2. パブリックコメントではどのような意見等が提出されたのか。経済的効果及び観光客の見込み数の予測についてのコメントはどうか。
  3. 町民からパブリックコメントにてコメントがあった経済的効果及び観光客の見込み数の予測値を確認しないことは議会が責任放棄したと受け取られかねない。 経済的効果及び観光客の見込み数と、その到達時期はどのように予測しているのか。
  4. 説明があった予測値はいろいろなソフト面での施策が実施された上での終極的な値と理解する。次の段階として、中間地点での到達目標値を設定して取り組むべきと考えるがどうか。
  5. 現時点での検討結果としては理解した。事業遂行に当たってはPDCAサイクルを意識して取り組むことを期待する。

 これに対して行政から回答があり、観光客の見込み数として1~2年で年間5万人、5年後に年間7万人、また経済的効果として初年度1,100万円、5年後2,000万円が示されました。 経済的効果については、あくまでも交流センターにおける物品販売に限って想定したものであり、観光客の交流に伴う活性化効果は織り込んでいないということでありました。

 私の狙いは、経済的効果や観光客の見込み数の予測値を示させることにより、当該事業の達成度(進捗度)と責任の明確化を図ることにあります。 PDCAサイクルを意識した事業推進を行うためには、目標値が設定されていないということはありえません。行政による事業推進で最も欠落している視点です。どこまで達成したのかが把握できないということは当然に事業の成否も責任もいい加減にならざるを得ないからです。 この点は今後も留意していきたいと考えます。

 総括質疑においては、第9款教育費 第4項社会教育費 第1目社会教育総務費の文化会館施設管理事業 第15工事請負費 大ホール調光設備改修工事29,307千円 について質しました。 質した項目は次の通りです。

  1. 再確認になるが、改修工事の内容を伺う。
  2. 大本の電源工事を含むという回答があったと記憶する。館内の多方面の用途を想定して電源工事を行うと想うが、その用途はどのようなものか。
  3. 今後に予定される工事の概要と総費用はどのようなものか。
  4. エニスホールは、自然の音響効果が持ち味となるように設計されていると伺っている。舞台周囲や客席の構造によって生み出される効果によって、残響音が長く響く構造になっているようである。音響設備は電気的に音響効果を高める装置であり、構造音響の施設にはほとんどないと聞いている。電源の改修工事については、この点を考慮して対応されたい。
  5. 設備を改修するということはただ単に設備劣化に対応するだけではなく、今後の事業運営すなわち公演などの開催増による商業収入の増加に繋げることを考慮すべきと考えるが、どうか。

これに対して行政から回答があり、今回の工事は照明の調光に関わる工事であり、電源工事は今後対応することになるので、指摘された点については考慮していく、また全体費用は約2.4億円になると示されました。 エニスホールについては、運営方法の在り方など根本的な論議を要する課題がある と考えています。当選させていただいたあかつきには一度、一般質問において質した いと思っています。 一般会計予算案の質疑模様については、概略以上のようになります。 ご質問とご意見がありましたら、ご連絡をいただければ対応させていただきますので、よろしくお願いいたします。