1期目議員としての概観(その1 議会)

 町民の皆さまも耳にしたことがあるかと思います。野木町議会には与党議員と野党議員とが存在すると。 厳密に言えば、この話は正しい物言いではありません。

 何故かといえば、内閣総理大臣を与党議員が選出する議員内閣制である国政では与党、野党という勢力は現に存在しますが、わが町においては二元代表制の下で首長である町長と我われ議員は共に町民の選挙により選ばれていますので、国の議員と総理大臣との関係とは違って町長に対しては、議員全員が野党的な存在になります。 このことを議員自身がよく理解していないと思われる発言があることも事実です。この関係を正しく認識せずに議員活動を行っているとすれば議会及び議員の存在価値はありません。

 二元代表制の下で我われ議会に与えられた使命は、首長の独断的な執行を許さないという役割を果たす存在であり、そのために首長である町長の執行権に対する議会の議決権が付与されています。

  議会では議長が一番偉いというように受け止められていますが、この表現も正確な表現ではありません。議長の権限としては、対外的に議会を代表する権限、例えば対外的に発出する文書などでは議長名により発出する、議会を代表して対外的な会議や式典というイベントに出席して挨拶等をする、また議会運営において会議の議事運営に係る権限はありますが、議会運営そのものにつては議長に権限はなく議会運営委員会の権限と定められています。議長として権限があるとすれば議会改革などを議会運営委員会に諮問する権限であり、この権限を積極的に行使する議長は皆さまが理解されるような問題意識を持った偉い議長にあたるのではないでしょうか。

 また、野木町議会は執行部の追認議会になっているのではないかという声を耳にします。この点は、議会の仕組みを皆さまに発信することを怠ってきた我われ議員と議会に責任があるようです。

 というのは、議会活動は、年4回開催される定例議会(原則3,6,9,12月開催)及び随時に開催される臨時議会だけで行われているものではありません。特に皆さまが傍聴されるのは定例議会と臨時議会が主であり、この審議模様を基に判断されると議会は追認議会との印象を持たれることはあり得ることだと思います。 定例議会や臨時議会の開催に当たっては事前に議会運営委員会と議会全員協議会が設定され、その場で付議案件について執行部から説明が行われ、併せて議員から質問や意見が提出されます。本来これらの場は実質的な質疑の場とならないようにそして実質的な質疑は本会議で行うよう会議規則等で位置づけられていますが、疑問点を質すには意見等に及ばざるを得ず実質的な議論の場に近い運営とならざるを得ません。また議員の持ち時間も本会議では1事案につき1議員20分と定められていますが、議会全員協議会等は特に制限はありませんので、十分に発言する機会があります。

 執行部はこの場での意見等を踏まえ必要な改善や見直しを行った上で定例議会や臨時議会の本会議に事案を提出・付議するため、前出の委員会・協議会で積極的に質問と意見を発言した議員にとっては、すでに織り込み済みの事案ですので本会議での質疑発言はほとんどありません。このことから質疑もせずに単に採決に際して起立しているだけと理解されることになり、傍聴された方々には追認議会と映ると想われます。

 このことを意識的に活用していると想われる議員もいるように感じられます。議会全員協議会等では特に発言をせずに本会議で発言を行う姿勢です。目立てばよいという姿勢であれば内容的には町のことを考えた質問であったとしても、結局は自己の立場を優先した議員活動であり、本当に町民の代表と言えるのか疑問に感じざるを得ません。