平成30年度 議会運営委員会所管事項調査を実施!

 

  平成30年10月25日(木)~26日(金)の日程で、議会運営委員会の所管事項調査を実施しました。
調査事項は「議会改革の取り組み(ICTの活用)について」というテーマで実施し、神奈川県寒川町と山梨
県富士川町を訪問しました。  
 具体的な調査事項は、以下の通りです。
 1.寒川町
 (1)タブレット端末等の導入について
 (2)インターネット配信について
 2.富士川町 (1)タブレット端末等の導入について

〈 寒川町 〉
◆議会の概要   
議員定数  条例定数 18人  現在数 17人   
任期    平成29年2月24日~平成33年2月23日   
党派別   無所属 8人 共産党 3人 公明党 3人 自民党 2人 立憲民主党 1人    
年齢別   年齢30歳代3人 40歳代2人 50歳代7人 60歳代2人 70歳代3人   
性別内訳  男性 15人  女性 2人   
会派制   5会派(会派の結成には、2人以上の所属議員が必要)   
委員会   常任委員会(総務:10人、文教福祉:9人、建設経済:10人)         
      議会運営委員会:7人         
      特別委員会(東海道新幹線新駅対策:8人、田端西地区まちづくり対策:9人)                                                      議長・副議 地方自治法上は4年となっているが、実質的には2年。   
長の任期         
常任委員等 2年(条例)
の任期   
議会事務局 職員数:5人   
報酬    議長:479、000円  副議長:397,000円         
      議員:368,000円   (参考:三役報酬)         
      町長:829,000円 副町長:673,000円
      教育長:618,000円   
政務活動費 1人当たり(年額) 240,000円   
費用弁償  平成19年4月から廃止   
視察旅費  1人当たり(年額) 100,000円(常任委員会:平成30年)

  次に、視察概要について報告します。  
1. タブレット端末等の導入について  
(1)導入の経緯について      
   平成19年9月に任意に組織した「議会改革推進委員会」を立ち上げ、その下に設置した3つの部会
  (議会あり方検討部会、審議活性化検討部会、開かれた議会検討部会)の審議活性化検討部会において、
  平成25年~26年度にタブレット端末の導入を検討し、平成27~28年度タブレット端末の導入を
  図った。
 ◇ 導入プロセス
 ① 導入内容検討: 議会改革推進委員会の部会を設置し、タブレット導入の検討開始
   平成26年1月 議会関連資料のペーパーレス化に向け調査研究を開始 逗子市議会を視察
 ② 導入業者選定:
   タブレット端末、文書共有システム業者によるプレゼンを実施
  ・平成26年1月~4月 全員協議会でのプレゼン実施、見積徴収
  ・平成26年7月    文書共有システム導入業者を議会で決定 富士ソフト㈱ moreNOTEを選択】          
   * 富士ソフト㈱、東京インタープレイ、大塚商会の3社でプレゼンを実施し、決定。
 ③ 導入に向け、執行機関との調整
  ・平成26年5月~11月 議会・執行部との同時導入に向けた調整
 ④ トライアル運用(1):
  ・第1回定例会9月会議の一般質問で試行実施(経費は政治活動費で支弁)
  ・平成26年9月    タブレット操作研修会を実施
  ・一般質問(2日間)
  ・全員協議会で試行実施(議会のみ)
 ⑤ 補正予算計上:
   タブレット導入関連経費を平成26年12月補正予算に計上
  ・平成26年10月   タブレット端末を選択(iPad Air 16 GB Cellular+Wi-Fiタイプ)
  ・議会、執行部双方で関連経費を計上
 ⑥ トライアル運用(2):
   平成26年第1回定例会12月会議の全日程で試行実施
  ・平成26年12月   タブレット端末をレンタルして試行実施(議会のみ)
 ⑦ 運用準備:
   導入決定業者との契約締結
  ・平成26年12月   タブレット端末  ⇒ ソフトバンクモバイル㈱
  ・文書共有システム ⇒ 富士ソフト
 ⑧ 操作研修会:
   正式運用に向け、議会・執行部双方での操作研修会を実施
  ・平成27年2月    議員全員での操作研修会を実施(H26年も実施)
  ・執行部(町長及び幹部職員・希望職員)の操作研修
  ・研修を実施(3回実施)
 ⑨ 正式運用:
   平成27年第1回定例会3月会議から正式運用を開始
  ・紙とmoreNOTEの併用で運用を開始
  ・平成27年12月会議から完全ペーパーレス化(予算書・決算書は除く)

(2)タブレット端末の概要
 ① タブレット端末(導入時~平成29年2月)
  ・機  種: iPad Air 16 GB Cellular+Wi-Fiタイプモデル 16GB
  ・導入台数: 48台(議会:25台、執行部:23台)
  ・契約方法: 賃貸借契約(24カ月 レンタル契約)
  ・費  用: 約220万円/年間(48台分)
  ・選定理由: 
       ① 端末のセットアップに係る導入支援
          ② 資産管理が不要
       ③ 紛失・盗難・故障時の保守対応可
       ④ 更新時に最新機種を活用できる
       ⑤ ウィルス耐性に優れている
       ⑥ 視認操作性に優れ、端末で最多の実績
 ② 新機種の更新(平成29年3月から)
  ・機  種: iPadPro9.7 【議会議員18台+事務局5台】
         iPadAir2   【議会傍聴者2台+執行部23台】
  ・契約方法: 賃貸借契約(48カ月 レンタル契約)
  ・費  用: 議会費  約100万円/年間(25台分)
         総務費     約 84万円/年間(23台分)
  ・選定理由: 審議活性化検討部会で検討
        ① 機器の信頼性(故障率が低い)
        ② OSの信頼性(ウィルス耐性・更新の頻度)
        ③ メモ機能の活用(専用ペン等を別途用意)
  ・通信会社: ソフトバンク㈱
 ③ タブレット端末の通信方式
 (1)Wi-Fi+Cellularモデル(寒川町が使用する通信方式)
    Wi-Fi無線とCellular(携帯キャリア電波)に対応。
   〈 特徴 〉
      ①携帯電話で実績のある安定的な電波を使用
      ②通信環境に制限がなく、無線端末機も不要
      ③通信料金とのセット料金でランニングコストが低減
 (2)Wi-Fiモデル
    Wi-Fi無線のみに対応。
   〈 特徴 〉
      ①通信環境に制限。無線端末機が必要
      ②Wi-Fi無線ルーターやサーバーの設置が必要
      ③費用場所を限定すれば、ランニングコストを抑えられる

(3)文書共有システムの概要
 ① 文書共有システム
  ・クラウド: moreNOTE 【富士ソフト㈱】
  ・導入台数: 48ID(議会:25ID/執行部23ID)
  ・契約方式: 単年度契約
  ・費  用: 約45万円/年間(20G・48台分)
  ・選定理由: 
      ①業界最強のセキュリティ面 
      ②ファイルごとの利用制限設定    
      ③高速な同期機能(ペアリング)機能 
      ④だれでも使える操作性    
      ⑤簡単なファイルアップロード  
      ⑥端末ごとのログ取得・自治体導入実績   
      ⑦導入前~導入後のサポート支援

(4)タブレット端末の導入体制について
 ◇ 運用ルール
   文書共有システム及びタブレット端末機使用基準を制定
  ・タブレット端末及び文書共有システムの仕様にあたって、議会内での取り決め事項を設ける。
  ・端末貸与、禁止事項、遵守事項、セキュリティ対策など
 ◇ 運用体制
   議会改革推進委員会 審議活性化検討部会が主導で、タブレット端末運用にあたっての改善事項、
   今後の活用範囲拡大等については、課題解決に向けた検討を図っていく。
   参考: 「寒川町文書共有システム及びタブレット端末使用基準」の構成
   (趣旨)第1条  (定義)第2条  (会議における使用者)第3条
   (端末機の貸与)第4条  (端末機の取扱い)第5条  
   (端末機で使用するアプリケーションソフト)第6条  (禁止事項)第7条
   (遵守事項)第8条  (セキュリティ対策)第9条  (各種通知、届出等)第10条
   (その他)第11条  附則
 ◇タブレット端末導入によるコスト削減
  ① コスト削減見込み
    審議活性化検討部会での試算により、議会全体で年間約92万円(紙資料約10万枚)の削減を
   見込んでいる。
     ・紙コスト      48,437円/年
     ・印刷コスト    162,265円/年     合計 912,532円/年
     ・その他のコスト  701,829円/年      
      *導入検討開始時期の試算数値
  ② その他の効果
     ・ 資料作成及び資料の差し替えに要する多くの時間が不必要になった。
     ・資料の保管場所や廃棄処理コストが削減できた。
     ・カラー表示により図表や写真などを効果的に活用できた。
     ・資料請求等による会議の一時中断などがなくなり会議運営が効率的になった。
     ・ペーパー配信による事務連絡がなくなり、郵便代が節約できたほか、事務局の手間が省けた。

2. インターネット配信について
(1)議会動画配信の概要
  ① システム概要
    議会内に設置したエンコード端末により、映像・音声を受託者へ送信し、インターネットによる
   生中継及び録画中継を行う。
  ② 開始年月
    本会議:平成20年9月  委員会:平成29年6月
  ③ 配信対象
    本会議(生中継および録画中継)  委員会(生中継のみ)
  ④ 視聴可能時間
    通年24時間運用 *平成29年6月会議からマルチデバイス対応
   ⑤ 録画中継の公開期間
    4年
  ⑥ 契約額
    2,592,000円(平成30年度)
  ⑦ 業者選定
    随意契約

〈 富士川町 〉
◆議会の概要
議員定数  条例定数 14人  現在数 14人
任期    平成30年4月25日~平成34年4月24日
党派別   無所属 13人 公明党 1人 
年齢    平均年齢 63.2歳 40歳代1人 50歳代3人 60歳代6人 70歳代4人
性別内訳  男性 12人  女性 2人     
委員会   常任委員会*(総務産業建設:7人、教育厚生:6人、広報:6人)        
      議会運営委員会*:6人          
      *任期2年です。        
特別委員会(リニア対策:6人、公共施設再配置調査研究:6人、決算:13人)              
議長・副議 2年   
長の任期         
常任委員等 2年(条例)
の任期     
議会事務局 職員数:3人(専任職員:2人、兼任1人)   
報酬    議長:295、000円  副議長:240,000円         
      委員長:228,000円 議員:220,000円   
   (参考:三役報酬)         
      町長:685,000円 副町長:568,000円         
      教育長:538,000円   
政務活動費 議員1人につき年額 3万円   
費用弁償  車は陸路1㎞につき37円又は実費、鉄道実費、日当1日につき 1,200円、宿泊料
      1夜につき13,100円、食卓料2,600円   
請願・陳情 陳情書またはこれに類するもので、議長が必要があると認めるものは、請願書の例により
      処理する。請願に適合しない陳情は受付後写しの配布のみ。     

 次に、視察概要について報告します。  
1. タブレット端末等の導入について
(1)導入の経緯について
   平成26年10月  2名の議員がタブレット研修に参加。
             効用を認識し、議会での導入に向け検討するよう提言する。
        11月  議会改革特別委員会でタブレット体験研修を実施(東京インタープレイによ
             る)。
   平成27年 8月  神奈川県逗子市先進地視察、町長を同行。
        10月  ICT推進部会(議員4名、議長)を設置し、導入に向け本格的に検討を開
             始。
        12月  導入に向けて当局(関係部署の課長)の意見聴取を行い、協議の結果を町長
             に報告。
             来年12月議会からの本格運用を目指すことになった。
             「議会へのタブレット端末の導入検討委員会」を設置(メンバー:議長、議
             員5名、議会事務局、会計課、財務課、政策秘書課(課長及び担当リーダー
             ))。
    平成28年 1月  東京インタープレイからレンタルしていたタブレット端末を返却後、議員
              個人負担でタブレットのレンタルを開始。
          2月  議会改革特別委員会を開催し、議会の最終意思決定を行った。
          3月  タブレット端末の機種の検討。
              併せて、通信会社の検討。
          4月  サイドブックス(SideBooksアプリケーションソフト)契約(執行部)
              通信会社 ドコモに決定(契約に向けての詳細打合せ)
          6月  タブレット15台納品(iPad  Pro)
         11月  逗子市役所を視察(執行部および議会事務局職員)
         12月  12月定例会でタブレット端末の試行運用(条例のみデータ化、補正予算は
              紙資料)
    平成29年 3月  3月定例会でタブレット端末の試行運用(12月に引き続き)
              当初予算も含め、全議案をPDFファイルに変換し、サイドブックスに載せ
              る、紙資料は併用。
          6月  6月定例会でタブレット端末の試行運用(3月に引き続き)
          9月  9月定例会でタブレット端末の試行運用(6月に引き続き)
         12月  12月議会から完全ペーパーレス議会になる。
    平成30年 3月  3月定例会で、全議案と予算特別委員会の課ごとの説明資料も、PDFファ
              イルに変換し、サイドブックスに載せる。
              改選前にタブレットを返却
          4月  富士川町議会議員改選
              データ、セキュリティを更新。
              再選議員はそのまま活用。 新人議員研修。
              タブレット端末を活用し、第1回臨時議会を開催。
(2)タブレット端末導入に要した費用及び現在の運用費用等について
 ① 導入時期
   議会:H28年6月   執行部:H28年7月
 ② 導入台数
   議員 15台  執行部 20台(町長1台 課長級説明員 19台)
 ③ 導入機器
   議員: iPad Pro 10MG   執行部:HP Elite ×2 1012 G1 Tablet
     ④ 通信方法
   議会:LTE   執行部:Wi-Fi
 ⑤ 電話会社
   議会:NTTドコモ
 ⑥ 契約方法
   議会:議会事務局が議員分15台のタブレットの通信費と端末購入費を随意契約(サイドブックスは
   執行部が契約)
   執行部:執行部分は指名競争入札で契約
 ⑦ 費用負担
   議会費で支出(議員負担は無)
 ⑧ 予算額
   議会:925千円(H30年度分)
   執行部(導入当初):3,238千円(ハード2,763千円、ソフト475千円)
 ⑨ 機器使用状況
   議会:
   ・議員配布資料をデータ化によりサイドブックス(SideBooks)へ配付
   ・サイドブックスへ資料を掲載したことをメールで連絡
   ・会議開催通知やお知らせをサイドブックスへ掲載
   ・会議の資料を閲覧
   執行部:
   ・議案・資料をデータ化により配付
   ・各種会議で利用(行政調整連絡委員会、所属長会議、情報推進委員会議)
 ⑩ 提供している主なデータ、資料
   議会:
   ・定例会等の議案説明資料
   ・議案
   ・会議資料・次第
   ・各種行政計画
   ・広報誌
   ・議会会議録など
   執行部:
   ・定例会、臨時会議案
   ・議案に関する資料
 ⑪ 運用体制
   議会改革特別委員会ICT推進部会が主導で、タブレット端末運用にあたっての改善事項 今後の活
  用範囲拡大等については、課題解決に向けた検討を図っていく。
   参考: 「富士川町議会会議用システム端末機使用基準の」構成
     (目的)第1条  (定義)第2条  (端末機の使用者)第3条
     (会議用システムの使用者)第4条  (端末機の貸与)第5条 
     (端末機の取り扱い)第6条  (端末機の使用制限)第7条
     (禁止事項)第8条  (遵守事項)第9条  (セキュリティ対策)第10条
     (各種通知、届出等)第11条  (その他)第12条  (準用)第13条 (委任)第14条

(3)タブレットの導入効果について
 ① 事務量の軽減
  ・議案書や行政計画などの紙資料はPDFでの提供となるため、印刷や製本などに関わる経費や労務の削
   減になる。
  ・情報がすぐに共有できるため、今までのような資料の戸別配布・電話連絡などの手間が削減され、事務
   の効率化が図られる。
  ・差し替えなどの資料が容易に修正でき、手間が省ける。
 ② 議会の政策提言能力の向上・チェック機能の充実
  ・行政からの資料提供が拡充され、事業への理解が深まる。
  ・詳細な資料提供が可能となり、政策提言に活かす事ができる。
  ・膨大な資料をタブレットに保管できることで、議員力アップが図られる。
  ・過去の情報がすばやく検索でき、審査そのものがより充実される。
  ・議員同士の情報共有がスピーディーに進み、議論の質、量ともに深まる。
 ③ 町民への情報提供の向上
  ・タブレットを活用し、行政資料やハザードマップなど多種多様な資料をすばやく参照できるため、いつで
   もどこでも町民へ正確で詳しい情報が伝えられる。
 ④ 環境負荷の軽減
  ・膨大な紙資料をペーパーレス化することで、資源の無駄遣いをなくし、環境負荷の低減が図れる。
  ・紙資料の廃棄処分がなくなり、ゴミの軽減につながる。

                                               以上