ICT(情報通信技術)の活用を考える!:続編

 標題に関して久しぶりに投稿します。
やっと政府も「電子政府(電子国家)」の実現に向けて本格的に取り組む方針を決めたようです。
連日報道で取り上げられている「デジタル庁の創設」にその方向性が見てとれます。
 デジタル庁の位置付けや権限、構成等については年末に策定するデジタル庁の基本方針を待たざるを
えませんが、新聞記事等の情報を踏まえ現時点で推測される、私なりの課題等について考えてみます。
 
 先ずは、「デジタル庁の成功のカギは人材採用だ」については同感です。
今般の新型コロナウイルス感染症問題に対する国の対応においても大いに見られるところですが、台湾に
おけるIT担当大臣の民間人の活躍です。

この事例を踏まえて経験豊富なIT人材の登用を進めるだけでなく、若手の幹部抜てきなどの従来の前例に
とらわれない配置が求められると考えます=すでに自民党の提言案にも盛り込まれているとのことです。
この点については、実行組織となる各自治体についても当てはまると考えます。
政令指定都市や県庁所在地などの大規模自治体においてはすでにIT人材の政策遂行上における優位性を
認識して戦略的に育成に取り組んでいるケースも散見されるようですが、ほとんどの自治体特に小規模自
治体においては手付かずな状況にあるのではないでしょうか(我が町野木町も例外ではなく)。
あくまでも管財課又は管財係という位置づけ(ハードウェアとしての帳簿管理に近い機能)になっている
と思われます。
行政におけるIT人材については短期的には民間人材の登用で対応せざるをえないものでしょうが、将来の
電子政府化を考慮するならば、IT分野は行政マンにとって必須の知識・技能であるとおもわれますので、
恒久的な人材育成のシステム化を図る必要があると考えます。
 また、人材確保とともに行政組織内でのIT化とICTガバナンスを効果的に機能させるための組織体
制を整備し、情報マネジメントの責任・分掌を明確にすることが求められると考えます。
国家戦略である電子政府化を積極的かつ実効あるものとするためには、国だけでなく自治体における組織
の在り方が重要になると考えます。
これについては、金融機関における情報分野に係る組織及び権限、任用の歴史が参考になるでしょう。
金融分野では、情報担当の専任化・組織化、情報部長の役員化、その進展としてのCIOの配置へと、ビジ
ネスでのIT活用の進展に伴い情報担当の役割と位置付けが重要なポストとなってきました。
行政分野においても今後は、同様の組織マネジメントが求められることになるはずです。
また当然ですが、業務改善と標準化等の行政改革がセットになるでしょう。

 次に、具体的なシステム化についてです。
 国、自治体等における業務のシステム化の方向性はデジタル庁が発足した後に、具体的に検討、策定、
提示されることになるかとおもわれますが、自分なりに考える方向性について述べます。
 自治体における庁内業務については、大きく分類すると基幹系(業務系)と情報系に区分されます。
基幹系としては戸籍、住民情報、税、福祉等、市民の重要な情報を管理する業務(システム)で構成され
ており、この業務(システム)は外部とのネットワーク接続を基本的に行わない等の堅牢なセキュリティ
対策を実施しています。
情報系としては財務、庶務、予算、文書、インターネット閲覧、メール等の内部事務系業務(システム)
で構成されており、この業務(システム)はインターネットに接続されていることから、ウィルス感染等
を防止するための厳重なセキュリティ対策を実施しています。
 この内基幹系業務(システム)については、国との関りで標準化された業務体系になっているとおもわ
れますので、統一化・標準化したシステム化を図ることはやや容易に可能ではないかと考えます。
ハードウェア、ネットワーク環境等との適用仕様を考慮することで対応できるはずです。
 また情報系業務(システム)については、基本的には各自治体で独自に対応、活用していることもあり、
どこまで統一化・標準化するのかという検討が必要になるとおもわれます。
 いずれにしても、システムの標準化にあたっては、業務の標準化に向けた見直しが必須であると考えま
す。
 また、基本的には、マイナンバーカードの活用を前提としたシステム化を図ることになるかと思います。
エストニアでの実例に準じたものになるとおもわれますが、マイナンバーカードを活用したシステムを前
提とするとしても、個々の業務システムの改修を行うことで接続化を図り電子政府化を図る方向性を採用
するよりは、まったく別の新規総合システム(仮称:電子政府システム)を構築する方向性を目指す方向
を採用すべきと考えます。
将来を見通しした場合に柔軟性、効率性、セキュリティー等の観点から有効と考えますが、デジタル庁の
方針がどのように示されるのか、楽しみです。

 参考:
 ― 令和2年9月18日に掲載 ―
 5月20(水)の下野新聞に「マイナンバーと口座連結提言へ」という記事が掲載されています。
内容は「自民党は19日、マイナンバーの活用策について、新型コロナウイルス対応を巡る現金給付のよ
うなケースにも拡大する案をまとめた。マイナンバーと振込先の預貯金口座をひも付けて事務作業を迅速
化する制度が柱」というものです。
 これについては、直近の特別定額給付金10万円の関係でありますので、皆様も実感されていることと
思います。
今回の給付にあたっては、オンラインと書類申請による手続きが執られています。
当初オンラインによる手続きが推奨されていたこともあり多くの受給者がこれを切っ掛けとしてマイ
ナンバーカードを取得することとなったため、コロナウイルス禍の下、かえって市町の窓口が混雑した
ようです。
今では、オンライン申請から書類申請へ切り替えるよう働きかけている市町も出ているとのことです。
 さて、マイナンバーカードとこれを活用したICT化については、これまでにも投稿してきたところで
すが(以降参照願います。)、先の自民党案を踏まえて、改めて論考してみました。
 結論を先に述べれば、今回の「口座とマイナンバーをひも付けることにより、政府が国民に実施する幅
広い現金給付に生かす」という方向は「緊急時の給付や福祉的給付、景気対策にも非常に有意義だ」との
総務大臣の発言に同意するものです。
 しかしながら、今回の新型コロナウイルス感染症対策として実施されることとなった特別定額給付金(
国民一人あたり10万円給付)の作業において、迅速な給付を行う上で解決しなければならない点は、果
たしてこの点だけでよいということなのかということです。
今回の給付については一括して世帯主の口座に振り込むことになっています。
そのため、マイナンバーカードを利用したオンライン申請にあたっては、世帯主のマイナンバーカードに
より申請する必要がありますが、その前提としては、マイナンバーカードと住民基本台帳がリンク(ひも
付け)していることがシステム的な条件として求められます。
口座番号とマイナンバーカードとのひも付け以前として、このリンクが図られていないと、オンライン申
請された世帯主に代表される住民基本台帳に記載されている対象者を非オンラインで(住民基本台帳を基
に目視で確認する必要がある。)確認する必要があります。
その都度不都合が出てきたから適合するようにマイナンバーカードと関連システムとのリンクを改善する
ということではなく、基本構想の下にシステム化を図っていくことが求められます。
そうしないとますます余計な費用が掛かることになります。
この点を改善するためには、マイナンバーカードを活用した電子国家(電子政府)のあるべき姿を明確化
し、それに向けて現行の法律を整備していくことが必要であると考えます。
以前にも述べましたが、個人情報の問題や情報漏洩の問題は現状、技術的に解決できるためなんの問題も
ないと考えます。
これまでの国会の議論を聴いていて感じられるのは、政党間の争いの具にすべきことではないということ
です。
ますますICTの活用を含め国際競争で後れを取ることになります。
今回の新型コロナウイルス感染症問題により我が国における社会全般のICT化が如何にグローバル水準
に比べて後れを取っているかが明らかになったことは事実です。

 参考:
 ― 令和2年4月26日に掲載 ―
 今日現在、世界中の国々で新型コロナウイルスに感染し、多くの方が亡くなっています。
我が国においてもすでに1万3923人以上の方が感染し、371人の死者が出ています。
我が栃木県では、感染者52名発生、幸いに亡くなられた方は出ていません。
 4月7日に国は緊急事態宣言を発令しましたが、いまだ全国的に感染者は日々増加しており、最も多く
の感染者が発生している東京都では、連日100人台の感染者が出ている状況です。
感染された方々にお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方々にお悔やみを申し上げます。
 また、治療等に従事されている医療従事者の皆様には、ご自身の命の危険性を犠牲にして対応されてい
ること、またこれらの皆様を支えられているご家族の皆様に対しまして、心より敬意を表するとともに感
謝を申し上げます。
 一刻も早く終息することをお祈り申し上げます。

 現在、緊急事態宣言の発令の下、全国の自治体において感染拡大を防ぐため対策が執られています。
我が栃木県では、不要不急な外出を控える旨の県知事からの要請、またすべての学校が休校し、公共施設
が閉鎖されるなどの措置が執られています。
当然ですが、我が野木町も同様な対応をしているところです。
 緊急事態宣言の発令に伴い、影響を受ける国民、事業者等に対する経済的な補償を求める声もあり、やっ
と国の対応が決定され、今月末までにその内容を含んだ補正予算が国会を通過する見通しとなっています。
今後、これらの手続きが進められれることとなりますが、いずれのケースでも書類又はオンラインによる申
請の手続きが必要になるということです。
オンライン申請が可能となるのはマイナンバーカードを保有している対象者であり、大部分の給付対象者は
書類申請によることになると思います。
手続きの詳細は分からないのですが、報道されている情報によれば、所定の様式により役所等へ申請する方
式になるようですので、その処理に係る稼働及び手元に届くまでの時間を問題視する意見も出ています。
すべての給付対象者がオンライン申請によれば、これら問題視する意見も解消されると思われます。
ただ残念ながら、マイナンバーカードの普及率は一番普及している自治体で30数%、大部分の自治体では
10数%前後であると推測します。
 一刻も速いマイナンバーカードの全国民普及を実現する必要性があります(以下の令和元年4月 1日投
稿を参照願います。)。
 また、自粛要請に伴いテレワークによる在宅勤務が推奨されていますが、業務による難しさを別として、
テレワーク環境が整っていないために対応できない会社員が多くいるようです。
 教育分野においても同様に、在宅における授業を可能とする環境整備の必要性が明確になりました。

 上記に述べてきたように、申請業務の迅速化・稼働低減化、テレワーク環境の整備、教育分野の情報化など
については、マイナンバーカードの普及やこれと関連した情報通信環境の整備、いわゆるICT化を早期に実現
することが喫緊です。
そのためには、国としてのICT化戦略を今一度見直し、国民との共通認識とすることが重要であると考えます。
日本の将来像を明確にする、ICTの活用はその国の将来像(電子政府)を創造する上で必須です。
私のイメージでは、過日掲載したようにエストニアをその目標にすべきと思っています(以下の令和元年4月
1日投稿を参照願います)。
マイナンバーカード普及は、正に国の将来像を国民と共有することによって実現できると思っています。
その将来像を明示しそれに向けて取り組むという国民との共通目標と位置付けた上で、自主的な普及でなく国
の国策として義務付けて推進することを提言します。
将来の国力を左右する重要な技術であることを、政治が緊急性をもって訴えていくべきと考えます。

 参考:
 ― 令和元年9月24日に掲載 ―
 本日の下野新聞朝刊記事に「住民サービス向上へ総務省 AI自治体共同で導入 20年度に先行モデル
事業」が掲載されていました。
記事の内容を要約すると、次の通りです。
・人口減による松蔭不足に備え、人口知能(AI)を活用して住民サービス向上や業務効率化を図る自治体
 の増加を目指す。
・複数市町村が共同して関連システムを導入・利用するよう促す方針を決めた。
・2020年度に全国7ヵ所程度でモデル事業を実施し、ノウハウを蓄積して全国に広める考えである。
・モデル事業は、複数の市町村とIT企業でつくるグループで実施する。
・どのような分野でAIを活用できるか協議し、必要なシステムを開発する。
・モデル事業の成果やシステム導入の手順などは、同省が「自治体AI活用ガイドブック(仮称)」にまと
 め、全国の自治体に参考にしてもらう。
・住民記録や税金、福祉などの業務に使っているコンピューターシステムは現在、自治体ごとに仕様が異な
 っており、維持更新費が膨らんでいる。
・AIシステムの共同導入は、人口減で税収の先細りが見込まれる中、自治体の支出を効率化する狙いもあ
 る。

 ICTについては、これまでにも「マイナンバーカードの導入について!」や郡山市役所(品川市長様)
訪問の既報告において、私の考えを述べさせていただいているところでありますが、郡山市において品川市
長様が取り組まれている、保育施設への入所事務にAI・RPAなどを活用したシステム(導入予定(令和元年
11月~)などは、その良い事例になるかとおもわれます。
郡山市においては、周辺市町村15自治体で「こうりやま広域連携中枢都市圏(こうりやま広域圏)」を形
成していますが、この形態であれば、この度の総務省の方針にマッチングした対応が取りやすいと想われま
す。
わが町については、小山市と広域定住自立圏を締結していますが、あくまでも一対一という広域連携形態で
あるため、手を挙げることは難しいのではないでしょうか。
検証の結果になるかとおもいますが、共通的な事務処理システムに絞られることになるのではないかと考え
ます。
今すぐに思い付く事例としては、施設予約システムや議会関連の議事録作成・予算書・決算書、道路台帳・
埋設物管理などですが、その他にもモデル事業により多くのシステム化が図れることとおもいます。
 反面、現状の国の方策である「地方創生戦略」の基本的な考え方では、各自治体が特徴ある施策を展開す
る方向が求められていることでもあり、創生戦略事業に係る処理を共通システム化することは限られると思
います。
 また、完成形は汎用的なパッケージソフトによるシステムになるかと考えられますが、現在のサービス提
供者である既存IT事業者への影響が懸念されます。
 加えて、総務省が提供する業務ソフトであることから、地方自治体と国との地方自治のあり方にも係わっ
てくる問題でもあるように想われます。
 私が考えるところでは、エストニアでのマイナンバーカードの利用形態を終局的な目標と位置付けたうえ
で、常にその将来計画に合致した方向でシステムを構築していくという視点が求められると思います。
 今回の総務省の方針は、今後の人口減少に伴う労働人口の減少を考えると必要な方向であると理解します
が、システム化を図るということは、業務を共通化することでもあり、各地方自治体の運営の共通化に通じ
るものです。
ゆくゆくは現状の地方自治体及び地方行政の在り方に関わってくる問題を包含しているとおもわれます。


 参考:
 ― 令和元年4月 1日に掲載 ―

 テレビや新聞で少子高齢化に伴う人口減少による労働力不足の問題が取り上げられているのを、頻繁に目に
します。
その中で本日(2018年8日(月))、下野新聞「針路」において「人口減少社会の暮らし改革」という論
題の記事が掲載されていました。
主な論点を記述しますと、次のようなものです。
・人手不足の背景には、景気回復による企業の求人増があることは間違いないが、同時に生産年齢人口の減少
 が影響している。
・日本では15~64歳の生産年齢人口は、1995~97年にピークを迎え、それ以降、現在まで1千万人
 以上減少した。
 それにもかかわらず、実際に働いている就業者数は減らないで済んでいるが、これは、女性就業率はこの
 間、20代後半から30代前半にかけて17%ポイントも上昇し、30代後半から50代前半にかけても8
 %ポイントも上がっており、60代男性に加えて、女性の就業者数の増加で日本経済は労働力を確保するこ
 とができた。
・すでに4年前に日本女性の就業率はアメリカを上回るようになっているが、今のところパート労働者が多い
 が、未婚が増え、結婚しても共稼ぎ世帯が6割を占めるようになることで、これを実現してきた。
・今後、日本の人口減少は加速し、労働人口の減少を女性就業の促進で緩和したいという社会のニーズは今後
 ますます強まると予想される。
・このような中で、日本の男性の家事時間はアメリカの平均家事時間より2時間程短くなっているが、女性の
 就業率のますますの上昇が期待される中、家庭においても性別役割分担の見直しが喫緊の課題になっている
 ことを考え合わせると、企業の働き方改革に加え、個々の世帯における「暮らし方改革」が求められる。
 この記事は、少子高齢化に伴う人口減少による労働力不足の問題について、「企業の働き方改革」との関連
 で「家庭の暮らし方改革」の必要性と重要性を提起するものであると理解します。

 ところで、この記事を読後に、以前読んだ「国民ID制度が日本を救う」というマイナンバー制度を解説し
た本を想い出しました。
その本を読み終えた時に、マイナンバー制度を導入し活用することこそ、我が国における究極的な人口減少に
よる労働力不足の対処策ではないかとの感慨を抱いたことを覚えています。
この本において、国民番号制度(マイナンバー制度)を導入し活用している代表的な国の例として、バルト三
国の一つであるエストニアの事例が紹介されています。
エストニアでは、国民IDの活用とシステム間連携を図ることにより、ネット投票・開票、地方政府に共通す
る電子作業環境の整備、入学願書の一括登録、納税、交通機関の利用、運転免許、医療分野での病歴・診察連
携・調剤連携、介護分野、官公庁・自治体・銀行・企業の連携など全分野の業務がシステム的に連携処理を行
える仕組み(究極的な電子政府と言えるのではないかと思っています。)となっています。

 ところで、日本におけるIT技術の水準からすれば、エストニアに勝るとも劣らないマイナンバーを活用し
た全国版電子政府を構築することは、技術的に容易ではないかと考えるところです。
また、マイナンバー制度と電子政府の構築が人口減少による労働力不足の補足に繋がるものと考えます。
現状の官公庁・自治体・銀行・証券業界・保険業界などの業務に占める審査業務の割合は多いと推察されます
が、この審査業務はIT活用の最も適合した技術分野であり、そこに携わる稼動を大幅に削減することとな
り、結果として大幅な人的資源の抑制につながるものです。
特に国内総生産を現状のまま維持していくためには、国の労働力構成として少ない労働力配分において優秀な
人材を、これまでの官庁・自治体等から民間分野へできるだけ配分することは避けて通れない方向だと考えま
す。
無論、民間分野においてもIT技術(ICT、IoT,AI等)を活用し業務の効率化に取り組むことは当然
ですが。

 さて、現状の国等の動向はどうでしょうか。
私から見て、いくつかの問題があるように思われます。
先ずは、政府の対応ですが、電子政府(マイナンバー制度の導入等)の推進体制と、何のために行政にITを
導入しなければならないのかの導入後の社会のイメージ(課題とIT活用の全貌)を国民に対し明確に示して
いるのかという問題です。
 次に、マイナンバー制度に対する国政の問題です。
我が国は諸外国に比べて歴史的・文化的にプライバシーの問題に対してセンシティブな国民性であることは間
違いない事実だと思いますが、だからと言って国際的な潮流に後れを取ってよいということではないでしょう。
残念ながら、情報保護の問題を政党間の政争の具にしている観があるように思われてなりません。
個人情報保護の問題が社会の進歩を阻害するものであってはならないと考えます。
技術がどんなに進歩しても、そこに人間が介在する限り人為的な不祥事は生じるものです。
システム化に伴う情報漏洩の危惧を常に念頭に置いておくことは当然ですが、だからと言ってそのことを以っ
て、新たな社会制度の構築を容認しない姿勢は、我が国の将来的な発展の道を閉ざすものであり、国益に適っ
た政治判断とは言えないでしょう。
また、その他の問題としては、マイナンバー制度に限りませんが、サービス提供の現場である自治体においてI
T技術を活用する上で必要となるノウハウを有する人材が少ないという問題です。
そこで求められる人材は、IT技術のハード面に関する専門的な知識を有する人材というよりは、行政サービス
のソフト面においてIT技術の応用と活用を図れる人材です。
最近、やっと中央官庁等ではそのレベルの人材(政・官とも)が育ってきたように想われますが、地方自治体
では市町村の規模等によって大きな差が生じているのが、実情ではないでしょうか。
このことは、行政(職員)と議会(議員)の双方に当てはまることではありますが。
国が推進している地方創生の取り組みにおいても、如何にIT技術を政策面で有効に活用できるかが、その自治
体の総合創生戦略の結果に関係してくると推察します。
首長や議会議員がIT技術関連の見識を深めていくことは、今後の地方自治体の運営を考え合わせると極めて重
要な事項ではないかと考えます。

参考:
 ― 平成15年に掲載 ―
 わが町の広報誌のあり方を考える上で参考にするため古河市の広報誌7月版を入手しました。掲載されている
記事を読み進める中で「ICTを活用した教育・学習を支援~市とNTTドコモが共同研究の協定を締結~」という
記事が目に留まりました。
 記事の要旨は、「タブレット端末を教育現場で活用した共同研究を行う協定を締結した。学習用タブレット端
末を小・中学校に導入。学校の授業のほか、校外や自宅でも学習しやすい環境を構築し、一人ひとりに最適な教
育を行うことで学力向上を目指します。」という内容です。

 記事で取り上げられている古河市の事例は教育分野での活用方法ですが、その外の市町村でもいろいろな行政
分野での活用事例が報告されています。
平成26年に議員視察で訪問した南房総市においては、総務省の補助事業を利用し地域活性化やICT 人材育成・
活用、雇用創出でICTを活用しています(南房総市ユビキタスプロジェクト)。

 ところで、わが町の現状はどうでしょうか。
町の行政事務を処理する手段としてICTを活用していますが、事務処理の範囲を超えた利用にはなっていない
ように想われます。

何故その域に止まっているのでしょうか。
いろいろな要因があると思われますが、私としては、次のようなことが主な要因と考えています。
1.ICTに係わる職員の問題
  端的に言えば、ICTの活用方法を分かる職員がいないということです。
 行政で導入しているシステムは、いわゆる行政システムと言われる既存パッケージシステム(財務会計、
 住民基本、保健・年金等の業者が開発したソフトを利用したシステムであり、業者に任せれば専門家に近い
 職員は不要)であり、パンフレットレベルの知識で導入が可能です。
  だからと言って、ICTの技術的な専門知識を有する職員である必要もありません。
 技術的な専門知識はそれこそ業者の技術者に任せればよいのです。
 求められるのはICTの動向や活用方法を理解し、推進できる人材です。
 そのためには、それに対応できる人材を育成することではないでしょうか。
 それこそ政策判断に係わる事柄ですので、職員個々人の学習に任せることではないでしょう。
 町として職員の能力開発に取り組むことです。
 また、専担組織の設置も検討課題です。

2.行政トップの認識の欠如
  表現が強すぎるかもしれませんが、ICTの活用については、一義的にトップの認識にかかっています。
 そのためには、行政トップ自らが行政を取り巻くICTの動向に常に着目していなければならないでしょう。
 行政分野以外の動向にも感覚を研ぎ澄ましておくことが求められると考えます。

3.政策の先取性
  野木町版地方創生の取り組みにも係わることですが、他市町との競争になるわけですから、固有の特徴あ
 る 政策を展開することが求められます。
   先取性のある施策を企画し実行する姿勢があれば、ICTの活用は有効な武器になりえると考えます。

 これまでにもICTの活用問題については執行部に提言してきていますが、残念ながら上述したように執行
部に受け止めるだけの認識がないようです

執行部の共通的な課題と言えるのかもしれませんが、新しい分野に果敢にチャレンジする姿勢が弱いように感
じらます。
業務効率化や地域活性化を積極的に推進するという公約を果たす上ではICTの活用は避けて通れないでしょう。
 翻って、我われ議会はどうでしょうか。
執行部側に業務効率化を求める限りは議会として率先してICTの活用を検討・導入すべきであると主張してき
ていますが、これもなかなか前進しません。  
タブレット端末を導入し、会議やイベントなどの各種通知、一般質問の通告・原稿報告等で活用すれば議会事務
局業務の効率化につながります。
緊急時の相互連絡にも生かせます。
使っていく中で用途は広がっていくものです。
率先して新しいことに挑戦するという姿勢は議会人にとって必須ではないでしょうか。
一事が万事!