デジタル田園都市国家構想で野木町の活性化を!

 「地方議会人 1月号:若宮健嗣デジタル田園都市国家構想担当大臣 年頭所感」を読んで思うところがあ
りますので、掲載します。
 その年頭所感の中で、大臣は岸田首相が公約としている「田園都市国家構想」の一環として、次について述
べられています。
一つ目は「デジタル基盤の整備」、二つ目は「デジタル人材の育成・確保」、三つ目は「地方の課題を解決す
るためのデジタル実装」、四つ目は「誰一人取り残さない社会の実現」、この柱立てに沿って、政府全体で
5.7兆円の予算を投入し、地域が抱える課題を、デジタルの力を活用することによって解決し、国全体への
ボトムアップの成長や、持続可能で心豊かな暮らしを実現していくとしています。
基本的に私は、デジタル庁創設による電子国家(電子政府)の戦略的取り組みには大賛成です。
菅首相の着眼点は流石だと評価しています。
このことについては、佐藤 勉元総務大臣を初めとする歴代の総務大臣経験者の方々のご意見等を踏まえた政
策提案ではなかったかと推察しています。
というのは、私の認識では、我が国ではここおおよそ20年に亘ってIT関連分野に15兆円以上の予算を投資し
てきているはずです。
インターネットの普及等に対応するネットワークの高速・大容量化、住民記録カード、マイナンバーカード等
です。
しかしながら、今回の新型コロナウイルス感染症が発生したことにより、このような投資が行われてきた中
で、如何に我が国におけるデジタル化の取り組みは諸外国に比べて遅れているかが明らかな事実として突き付
けられたと感じています。
やっと政府も本格的なモードになったかという安心感を持ったところです。

 次に、ここに述べられた柱立てに関して意見を述べさていただきます。
柱の一つ目及び二つ目についてになります。
先ず、一つ目についてです。
この中では、デジタル田園都市スーパーハイウェイ、光ファイバー、5G、データーセンター、ガバメントクラ
ウドを始めとする共通基盤等の整備を進めていくとあります。
私が提案したいのは、この中で5Gとデーターセンターに関してです。
5Gについては、ネットワーク環境の整備(ハード面)だけではなく、実際的に住民に提供される行政サービス
等での応用(ソフト面)が求められると考えます。
これに関連しては、すでにスーパーシティー構想が進められていますが、その対象は大方大都市(宇都宮市)で
はないでしょうか。
一部に北海道の村が候補になっていたかと思いますが、広域圏での地域がほとんどと思います。
栃木県においては、宇都宮市が選定されて取り組みを進めています。
これはこれで進めていくことは良いと考えますが、もう少しコンパクトに農村地区、住宅街区、産業地区を併せ
持ち、並びに重要課題となっている少子高齢化等の傾向を持った町村でも実証実験を行う必要があると考えます。
栃木県内では、正に野木町はその典型的な実験フィールドになりえるものと考えます。

 ところで今の進め方では、行政的に体力のある自治体にならざるをえないと思われます。
自治体の意思判断だけではなく、県としての方針があって然るべきと思います。
なんでも自治体の意思すなわち首長の考え方に任せるということではなく、県の発展を考慮するならばもう少し
積極的に県が関与し、県、市町が連携した上で県のグランドデザインの基に候補地選定や取り組みを推進すべき
ではないか考えます。
県職員による直接的な要員応援や予算面での補助を県として考えることは当然に必要です。
派生的なことになりますが、県としてのデジタル化の基本戦略をもう少し明確化する必要もあるのではないかと
おもわれます。
県で策定した基本戦略は、県としての電子政府(電子県政)の将来像というよりは個別のICT化の事例を実現
することに観点があるように感じられます。
総論がなく、いきなり各論を積み上げている観です。
事業者の視点では各論である個々の施策レベルになりがちであると思いますが、総論=戦略こそは県行政の視点
となるものと考えます。
次に、データーセンターについてです。
このことについても、5Gと同じことが言えます。
誘致に当たっては、自治体レベルではなく県としての戦略を持つ必要があると考えます。
私は、この事業についても野木町は最適な立地条件にあると考えます。
データーセンターに係る立地要件では、災害等のリスクがないことが最優先になるでしょう。
野木町は、地震での震源地となった歴史もなく、また竜巻等の風の被害や洪水についても安全な土地です。
東京にある程度に近いという利点もあります。
データーセンターの誘致に際しては、単なるハードとしてのセンター誘致と捉えるのではなく、IT産業の集積
地としての産業立地の観点も併せ持つべきと考えます。
ビジネスを進める際に、すべてがIT技術の活用で済ませられるかと言えばそうとは思えません。
どうしても直接的な面談による交渉の場面を持つことも必要になります。
データーセンター運営業務についても、本社の立地する東京等との行き来が必要となるでしょう。
東京に近いという立地に優位性があります。

次に、柱の二つ目の「デジタル人材の育成・確保」になります。
デジタル人材の育成というと企業等に目が行きがちですが、一番の問題は行政分野でのデジタル人材の確保です。
すべての施策の面で目に付くことですが、施策を策定し展開させるのが役所の仕事であって、自分たちの組織は
例外という感覚が強いように感じられます。
一例になりますが、マイナンバーカードの普及がよい事例になります。
住民に所持することを働きかける立場でありながら、100%職員が保持している自治体は皆無と推測されます。
というように、デジタル政策を推進する立場である自治体の職員こそIT知識を保有したデジタル人材である必
要があると考えます。
現状はどうでしょうか。
中央官庁の職員ですらと想える状況下では、ほとんどの地方自治体も例外ではないでしょう。
これらの状況を踏まえると、行政職員向けの「デジタル人材の育成機関」を設立することを提案します。
全国の自治体職員を対象とする専門研修機関(研修センター)です。
毎年、新人が入ってきますので、全国的に対象者は多いでしょう。
民間企業の研修所等を活用する方法も考えられますが、数日~数週間という短期間というわけにはならないとお
もわれますので、数か月から半年の泊り掛けによる研修体制を整備する必要があると考えます。
単なるパソコン操作というレベルではありませんので、職業訓練センターでは対応不可能であり、訓練大学校で
の対応では他の目的に支障を生ずると推測されますので、やはり独立した専門機関を設立し対応していくことが
求められると考えます。
すべてを民間企業に所属するICT有技者を活用して対応するやり方は、短期のことであればよいでしょうが、国
家の基本となる長期的な仕事を担う人材は庁内に確保して然るべきと考えます。
現在の中学生が労働人口として期待できる10年以上先まで、またそれ以後もICT技術の進展に応じた研修を実
施していく必要性が求められることを勘案するならば、少なくともこれから30年から40年にわたって活用で
きる研修機関となるはずです。
上記と同じように東京に近い野木町であればこそ、交通の便もよく講師も集めやすい利点があると考えます

以上、個人的な意見を述べてきましたが、デジタル化戦略は短期的な課題と長期的な課題を分けて取り組んでい
くことが重要と考えます。
デジタル化=基幹業務(住民記録、財務会計、税、福祉関連)システムのIT化と捉える傾向が自治体職員にあ
るように見受けます。
これでは、自治体のDX化の実現は難しいと考えます。
強い言葉でいえば、文書による通知をもって行政職員等のデジタル化知識と意識がいきなり向上するものではな
いでしょう。
底上げが求められる所以です。