令和4年度政務活動視察研修を実施!

 令和4年7月19日(火)~21日(木)の日程で、議員有志8名(創生会グループ7人+1人)と政務
活動視察研修を実施しましたので、報告します。
 今回は、宮崎県川南町と、熊本県熊本市、福岡県北九州市を訪問しました。

研修―1
訪問先:  宮崎県川南町役場
対応者:  日高 昭彦  町長
      甲斐  玲  まちづくり課長
      河野 賢二  産業推進課長
      中村 昭人  川南町議会議長
      米田 正直  川南町議会議員
      新倉 好雄  川南議会事務局長

(参考情報)
 川南町の概要:
所在地:  〒889-1301 宮崎県児湯郡川南町大字川南13680番地1
面積 : 総面積90.12平方㎢
人口 :  人口14,913人(令和4年2月1日現在)
医療環境: 病院:2 一般診療所:4 小児科:1 歯科診療所:3
教育環境: 保育所:6所 幼稚園:2園 小学校:5校 中学校:2校
川南町中心部の築浅物件の家賃相場(2DK): 公営:35,000円 
                       民間AP:45,000円 

予算 : 令和2年度行政コスト計算書:一般会計予算等
純経常行政コスト 7,694,802千円
臨時損出     2.214.887千円
臨時利益         2,639千円
純行政コスト   9,707,363
*ふるさと納税実績 2020年 78,974件 1,228,668千円

議会:
議員定数  条例定数 13人  
  性別内訳  男性 11人  女性 2人  

報酬    議長:300、000円  副議長:222,000円
      常任・議運委員長:210,000円 議員:208,000円
  (参考:三役報酬)
      市長:699,000円 副市長:560,000円
      教育長:530,000円
  
◇ 主な事業の取り組み
 1.川南町の定住・移住施策について 
 (1) お試し滞在施設・助成金
  ①―1お試し滞在施設
     川南町へ移住を検討している方を対象に1人当たり一日500円で町が管理する滞在施設に宿泊
     することができる。
     → 令和3年から借用を開始した。
       利用期間は最長で1週間であり、現在月の半分は稼働している。
  ➀―2お試し滞在助成
     川並町へ移住を検討している方を対象に一泊当たり4,000円を上限に民間宿泊施設の宿泊費
     を助成する。
  ② 県外から川南町へ移住した人に10万円を助成する。
    さらに、住宅を取得、又は民間賃貸住宅に居住した人に5万円を加算する。
  ③ 町内雇用者等生活支援助成
    町外から町内に転入した方で民間賃貸住宅に居住しており、かつ町内事業所に勤務する人を対象に、
    月額15,000円の生活費を3年間助成する。
  ④ 新婚家庭生活支援助成
    夫婦の合計年齢が80歳以下で、婚姻の届け出から3年以内の新婚者に、月額15,000円の生
    活費を3年間助成する。
    さらに、夫婦の通勤費も3年間支援する。
  ⑤ 持家取得助成
    戸建て住宅の建設・購入をした夫婦またはひとり親に、最大100万円の助成金を交付する。
    夫婦の合計年齢により、助成額が決定する。
    100歳以下 50万円 80歳以下 60万円 70歳以下 70万
     60歳以下 100万円

 (2)子育てにやさしい町に向けた助成金
  ➀ 子供の医療費を助成
      未就学児は無償、1診療報酬明細書あたり小学生~18歳までの子どもは1,000円の自己負担
     額で受診ができる。
     調剤薬局での自己負担額は無料。
  ② 海外留学をサポート
    子ども留学等支援補助金として、子どもたちを国際的に活躍できる人材へと育成することを目的とし、
    留学等に要する費用の一部を助成する。
    *補助対象費の3分の2、上限500,000円
  ③ 高校生への就学支援金を給付
    高等学校等就学支援給付金として、20歳未満の子どもを高等学校等に通わせている保護者に、就学
    支援金を給付する。
    保護者の所得制限はない。
  ④ 保育料を軽減
    保育料を国の基準額の5割程度まで引き下げる。
    対象となる保育所・幼稚園は、町の内外を問わない。
  ⑤ 妊婦健康診査の費用を助成
    母子健康手帳をお渡しする際に、県内の医療機関または助産所で利用できる「妊婦健康診査助成券」
    を交付する。
    この券を使用すれば、基本的に妊婦健診が無料で受けられる。
  ⑥ 出産費用を補助
    出産育児一時金として、加入している健康保険が出産費用を補助してくれる制度です。
    妊婦12週(85日)以降の出産、一人につき420,000円が支給される。
  ⑦ 「子育て支援センター」や「病児・病後児保育室」など子育て支援を含めた福祉拠点が一体となる
    「川南町総合福祉センター」が2022年10月オープン予定である。
 (3)トレーニングハウスによる就農人口増加事業
   ・後継者以外は、農地の確保が難しい ・初期投資の負担が大きい ・素人には栽培技術の習得が難
    しいなどの新規就農者の課題に対応するため、トレーニングハウス事業を検討し開始した。
  アクション➀
   平成28年度より、役場、JA、県の関係機関とトレーニングハウスの協議をはじめる。
   ・販路が確立されている ・新規就農者でも比較的楽に取り組める ・情熱をもって指導する講師が
    いる。
   → 品目は“さららピーマン”に決定した
  アクション②
   川南モデルの構築
   全国各地で就農・移住支援の取組が実施されているため、他の地域との差別化を図るため、生涯川南
   で済み続けることのできる「川南モデル」構築が必要である。
   → 農業研修:トレーニングハウスで2年間の研修
            ↓
   入植ハウスで実践:リース事業(JA融資)町補助金 農地の団地化
            ↓
   就農・定住:技術指導・資金(JA)町による継続支援
  川南モデル➀
   町として移住定住支援に力を入れる(川南合衆国)
  ・県外からの移住者支援補助金 最大50万円
  ・持家取得助成金 最大100万円
  ・お試し滞在施設等
   → 新制度で、農業研修生として町外から転居し、アパートを借りると生活支援助成金を交付。
     (単身5万円/月、夫婦とも研修生7万5千円/月)
  川南モデル②
   ハウスの団地化
  ・研修後の就農用の土地をトレーニングハウス付近で取得する。
  ・畑かんが利用できる。
   2万円(10a/年)
   ハウスのリース
  ・国の補助金等を利用してハウスを整備し、研修後は15年間のリースを受けることができる。
   *リース料金の支払い後は、就農者の所有になる。
    → ハウスの整備(産地精算基盤パワーアップ事業)
      国の補助金5割+町の補助金2割+JAの補助金1割
   *ハウス整備の残額が15年のリース料金(実績100~130万円/年)
   トレーニングハウスの整備
   平成29年度ハウス整備完了
  ・規格:中期展張ハウス30a
  ・附帯設備:自動開閉機、加湿機、環境制御システム他
  ・工事費 約5,400万円
   研修生
   平成30年 3人 令和元年 5人 令和2年 2人 令和3年 4人 令和4年(予定)6人
   農業経営スタート
   令和4年6月時点、修了生8名が自営就農中
   2年目4人(夫婦1組)、1年目4人

 2.川南町電子地域通貨Tron(トロン)
   川南町内の協力店だけで使える電子地域通貨で、単位は「トロン」。1トロンの価値は1円。
   利用方法は、アプリ型とカード型の2種類で、利用される方が選べる。
   カード型はスマートフォンやタブレットを持っていない方でも気軽に利用できる。
   いずれの方法でもチャージは川南町役場でのみ可能。

〈研修結果〉
  今回視察させていただいたトレーニングハウスの現場で、研修後に就農された方にお話を伺うこと
 が出来ました。その方のお話では、収入については十分に満足されており、遣り甲斐をもって働いて
 いるとのことです。
  翻って、我が野木町においては、多くの集落営農組織が構成され営農が行われています。
   また法人組織の形態に進展している団体はわずかに1組織に止まり、その法人の方ですら農業経営に
 事業としての魅力を感じられないということをお聞きします。
  農業にまったく縁のない私として説明を拝聴し感じたことは、次のとおりです。
 産業分野、農業分野にかかわらず事業の運営を行うにあたっては、事業収益をしっかりと得られる仕
 組みが確保されていることが前提になるということです。
    正にトレーニングハウス事業は、この点に着目して体系化された新規就農者を呼び込む仕組みであ
 ることが理解できました。
  資金確保の問題、技術修得、土地の確保等すべてを持ち合わせない、ただやる気だけを持ち合わせた
 農業分野外からの新規参入者の方にとっては、参入しやすい条件が整った魅力的な町と映ることでし
 ょう。
  また、電子地域通貨(トロン)の構想については、経済(貨幣の流通)を地域内で循環させる効果
 があるだけでなくデジタル技術を応用した時代の趨勢にマッチした手法であり、その着眼と発想に刮
 目させられます。
 我が野木町でも早急に活用したいものです。
  いずれにしても、子育て事業、定住・移住事業等の各種事業を進めるにあたっては財源の確保が必
 要となりますが、この点についても、「ふるさと納税(実績額12億円~15億円)」を通じて財源
 確保に積極的に取り組まれていることを、我が町でも大いに参考にすべきと考えます。

研修―2

訪問先:  熊本県熊本市役所
対応者:  甲斐 憲二 市政策局危機管理防災総室 審議員
      岡島 和彦 市議会局政策調査課 審議員兼課長補佐
      前田 貴代 市同局議事課委員会係長

(参考情報)
熊本市の概要:
所在地:  〒860-8601 熊本県熊本市中央区手取本町1番1号愛知県知多ケ坪18
面積 :  390.32㎢ 
人口 :  令和4年4月1日現在 736,329人(303、690世帯)
予算 :  令和4年度当初予算一般会計
 歳入  379,100,000千円
   主な内訳: 市税    123,414,000千円(32.6%)
        地方交付税  52,199,000千円(13.8%)
        国庫支出金  88,090、804千円(23.2%)
       市債     38,448、300千円(10.1%)        

 歳出  379,100,000千円
  主な内訳: 議会費  1,134,466千円(0.3%)
           総務費     31,196,591千円(8.2%)
       民生費    145,438,243千円(38.4%)
       衛生費     27,281,499千円(7.2%)
       農林水産業費   4,911,392千円(1.3%)
       商工費     8,356,781千円(2.2%)
       土木費    39、518,573千円(10.4%)
       消防費     8,525,018千円(2.3%)
       教育費    70,602,646千円(18.6%)
       災害復旧費   5,563,242千円(1.5%)
       公債費    35,647,049千円(9.4%)
      令和4年度当初予算特別会計(11会計) 226,447,523千円
               企業会計(5会計) 86,200,064千円

議会:
議員定数  条例定数 48人  現在数 48人
会派制   6会派
委員会   常任委員会(総務:8人、教育市民:8人、厚生:8人、環境水道:8人、
            経済:8人、都市整備:8人、予算決算:48人)
      議会運営委員会:13人
報酬    議長:820、000円   副議長:746,000円
      議員:676,000円  監査委員:690,000円(月額)
  (参考:三役給与)
      市長:1,190,000円  副市長:947,000円
      教育長:705,000円   常勤監査委員:690,000円
      企業管理者:705,000円
政務活動費 月額20万円×所属議員数×12月
議会局組織 定数 28人  現員28人
      局長 1  次長 1  課長 3  課員 23  
〈研修概要〉
 ◇ 熊本市防災対策について
   ~ 平成28年熊本地震の対応と教訓~失敗から学んだこと~

 〇 熊本地震の概要と被害状況
(1)概要

   前震 2016年4月14日 21:26 マグニチュード:6.5
                       最大震度:7(益城町)
   本震 2016年4月16日  1:25 マグニチュード:7.3
                       最大震度:7(益城町、西原村)
      *地震のエネルギーは16倍
  (2)被害状況(2021年9月末現在)
   人的被害 死者:88人(直接死6人 関連死82人)(県全体死者数273人)
           重傷者:772人
   住家被害(り災証明交付件数:2021年9月末現在)136,682棟
        全壊:5,754棟  大規模半壊:8,972棟
        半壊:38,964棟 一部損壊:82,982棟
   宅地被害 がけ崩れ被害戸数:約4,300戸
        液状化被害戸数:約2,900戸
   電気   68,600戸停電 → 4月17日午後復旧
   水道   水源地等停止96箇所  
   管路破損による断水 → 4月30日通水完了
   ガス  105,000戸供給停止 → 4月30日復旧完了

  • 避難者・避難所崇の推移
    最大避難者数:110,750人(4月17日)
    最大避難所開設数:267箇所(4月21日)
    *当時の本市地域防災計画では
    ・想定避難者数:約58,000人 *想定を大幅に上回る事態へ
    ・指定避難所数:171箇所
  • 初動対応
    突如大地震に襲われた市民はパニック状態!
    → 突如大地震に襲われた市役所は大混乱!
    その時、市役所の中では・・・
    → 突如災害に襲われた直後の市役所は通常業務の行政機能を保てないことを痛感!
  • 浮き彫りになった災害対応の課題
    課題1:避難所
    ➀ 避難所の数が不足
    ・避難所となる学校体育館が被災し開設できない
    ・想定を上回る避難者が殺到し、避難者が2,000人を超える避難所もあった
    *当時の改善策
    ・体育館以外に普通教室等を開放
    ・避難者が身を寄せた多くの施設を急遽指定避難所にした
    ② 避難者の状況が把握できない
    ・頻発する余震の恐怖から多くの方が車中泊やテント泊を選択
    *当時の改善策
    ・車中泊の特定と意向調査カードを配布し避難者を把握
    ・自治会、消防団による在宅避難者把握へ地域巡回活動
    ③ 職員中心の避難所運営体制の限界
    ・職員の日替わり交代制による情報共有不足
     →スキルも対応もバラバラな職員への不満
    ・運営体制が不明確なことによる、職員頼みの避難所運営
     →多様な問題、トラブルに24時間対応する職員の疲弊
    *対策:避難所運営組織の強化
    ④ 多様性の尊重(ダイバーシティー)
    ・物資配給の列に並べない「災害弱者」への対応
    ・一般避難者が押し寄せた福祉避難所は役目を果たせず
    ・ペットから離れられない飼い主は車中泊へ
    ・忘れがちな女性への配慮や外国人避難者への対応
    *当時の改善策
    ・地域ぐるみで災害弱者への対応
    ・ストレス軽減のためのプライバシー確保
    ・乳児を抱える母親に配慮した避難所環境
    ・性被害防止チラシの配布
    ・外国人対応の避難所
    課題2:受援・ボランティア
     整備されていなかった受援体制
    ・応援職員に依頼する業務やボランティアの派遣先の検討不足(受援体制未整備)
    ・応援職員もボランティアも、何をどう支援したらいいか分からない
    ・多発する余震のためボランティア作業を制限
    ・全国から訪れた多くのボランティアぼマンパワーを有効活用できない
    *当時の改善策
    ・支援が必要な業務への応援職員等の調整を政令指定都市市長会が担う。
    ・被害者が支援を必要とする作業へのボランティア派遣(マッチング)
    課題3:情報管理
  • 混乱をきたしたデマ情報
    ・市民も行政も振り回される、悪質なデマ情報
    ・物資・給水に関する誤った情報
  • 市民への情報発信
    ・報道機関へオープンにした災害対策本部会議(全62回開催)
    ・会議終了後は、必ず記者会見を実施
    ・市民やマスコミへの対応の心得ができていますか!
    ・市民は不安でいっぱい
     いま何がどうなっているのかわからないから不満が湧き出る!
    ・マスコミも同じ
     情報収集、災害地の情報発信に必死!
    *情報を包み隠さず提供することにより
    ・市民から逆に情報を得ることも
    ・マスコミは大きな味方にもなる

  課題4:備蓄・支援物資
    ・備蓄食料不足(想定避難者5万8千人、想定避難食22万食)
    ・搬送される大量の支援物資の積み下ろしはマンパワー頼り
    ・支援物資と、避難所の物資ニーズがミスマッチ
    *対策:ボランティアの活用と物流のプロ(民間団体)の協力
              備蓄確保と、ニーズ把握における情報管理の一元化

  • 混乱期の状況(4/14~4/24)
    支援物流はどう流れたのか
     発災直後(4月14日~24日)は、一方通行であった
     自治体・国・民間 →拠点集積所 →各区役所 →各避難所
  • 改善後の物資搬送の状況(4/25~)
    支援物資はどう流れたのか
     第2段階(4月25日~)は、双方向
     自治体・国・民間 →拠点集積所 →第2物資倉庫(県外)* →各避難所

              ←      ←            ←
    *避難所からの注文に応じて物資を配送

 〇 危機管理の重要性~ 経験を糧に 教訓を胸に ~
 (1)災害に欠かすことができない三助
   ・自助・・・自分の身は、自分で守る
   ・共助・・・一大事は、みんなで助け合う
   ・公助・・・市役所は、被災者の救助・支援をする
    → しかし、三助それぞれにも限界がある
   *災害対応のキーワードは、~ 市民・地域・行政の力を結集 ~
   ➀ 災害に対する危機管理意識の変化(自助)
     熊本地震後の市民5000人意識調査アンケートの結果
   ・備蓄している人・・・34.2%から80.6%へ
   ・備蓄していない人・・・63.3%から14.0%へ
   ② 教訓を生かした地域での新たな取り組み(共助、公助)
     2018年4月15日に過去最大規模で合同避難訓練を実施
     (市民、市職員 13,000人)
    *安否確認、情報収集伝達にLINEを活用
   ・JR九州との合同避難訓
   ・市民・企業・行政の協働での避難所開設訓練
   ・初となる「福祉こども避難所」開設訓練

  • BCP(業務継続計画)の見直し ― 熊本地震の経験と教訓 ―
      ・今が非常事態であることを認識していない
      ・非常事態でも自分の仕事を必死に頑張る職員
      ・職員意識に潜む災害対応は危機管理部署の仕事
      ・そもそもBCPの存在自体を知らなかった 等々
             ↓
      災害発生直後の混乱と災害応急復旧対応の遅れ
             ↓
         被災者支援の遅れ
     *BCPの策定を条例で義務付ける!

 (2)受援計画の策定
   ➀ 業務継続計画と受援計画の関係
   ・業務継続計画(BCP)・・・発災時からの寺院振り分け(段階ごと)
    → 地域防災計画の実行性を高める計画
   ・災害時受援計画・・・不足する人員を外部から受け入れ
    → 地域防災計画の広域連携体制や生活救援対策を具体的した計画
   ② BCP「業務継続計画」策定の心得
   ・私が実体験を通して危機管理の中で最も大切であると実感したもの
    → BCP「業務継続計画」である
  〈 策定の心得 〉
   ・何を優先して行うか → 何をやめるか(やめる勇気)
    組織や自らの強みや弱みを再認識できる!
   ・職員(社員)全員が共有(幹部だけでではダメ)
    同じ方向を向いて「One Team」で臨む
   ・定期的な訓練の実施
    計画の制度を高め風化を防止、上記2点を確認するうえでも必須
   ・「受援計画」とセットで策定
    親会社子会社や関連会社、連携企業間等で共有すれば効果大
    受援だけでなく、支援にも役立つ

 〇 熊本地震時の市議会対応について 
 (1)発生直後の市議会等の被害状況
    ・議員の人的被害はなし
    ・4/16の本震~本会議場の天井落下
          ・代替場所~予算決算委員会室(議場復旧:平成29年11月)

  • 発生直後の市議会の取組
    ➀ 発生直後、各議員は?
    ・地域での被災者支援
    ・地域の実情把握
    ・地域住民の要望把握
    ② 発生直後、各議員は?
    ・当初:把握した要望を、各議員が区役所・市関係部署へ直接連絡
             ↓
    ・情報の錯綜・混乱が生じた
             ↓
     よって、
    ・議会事務局から市災害対策本部へ(情報の一元化)
  • 発災直後、市役所庁舎1階は避難者多数
    ・4/30まで高齢者・子ども連れを優先し、議会棟予算決算委員会室を避難所として開放
  • 4/25 全員協議会開催
    ・執行部より、被害状況報告
    ・5/9 議会運営委員会開催
     災害復旧・市民生活安定 → 最優先
    ・6/10 第2回定例会を決定
  • 震災復旧・震災復興計画を調査研究するため(全議員で)、
    「熊本地震からの復旧・復興に関する調査特別委員会」を設置
    ・5/10 国に議長・市長連名で要望活動
    ・5/11 議長は全国市議会議長会・九州市議会議長会にて、国に対して熊本地震に関する
           緊急要請
  • 課題と今後の取組
    ① 課題
    ・議員への情報提供や議員からの情報収集・要望等の把握
     → 執行部との連携が必要
    ② 取組
    ・平成28年9月「熊本市議会災害対策会議設置要綱」を制定
      熊本市で全市的な災害発生時に、議会は災害対策会議を設置し、意見集約等、議会事務局を
     通じて市災害対策本部との情報連携を図る

(2)最後に
    ① 災害は起こるものだと思え!
    ・慢心注意(市民も)→ 研修、訓練
    ・経験や失敗しなければ分からないことばかり
    だからと言って、災害が起こるまで待つのか!?
    ・近道は無い! 日頃の積み重ねが大事!
    ② 時代の変化への対応
    ・情報リテラシー(理解し活用する)、新しい技術への対応と活用
    ・人権教育、ダイバーシティー など
    ③ 職員(社員)の対応力
    ・最後に頼れるのは個々の能力、対応力!
    これも日頃からの積み重ねがあるからこそ

(研修結果)
 以前に視察した愛知県知多市においては、大地震発生に伴う津波を想定した防災対策について学習
したところですが、今回の熊本市の視察研修では、大地震時における経験知に基づく防災対策の取組
みについて学ぶことができました。
 いずれにしても共通して感じたことは、如何にして危機意識を持続していけるか、また自助・共助
・公助と言われる三助を前提とした仕組みを構築できているかということであり、これらの点に立脚
した防災計画と備え・体制が構築されていることが重要であるということです。
 振り返って、我が町においては、平成29年3月に「野木町地域防災計画(改訂)」が見直し策定
されています。
 今回の研修等で得られた知見を活かし、今一度、当町の防災計画を検証し、次回の見直し時に意見
提案したいと思います。
視点は、計画倒れになっていないか
 ・避難所の設営は実態に即したものとなっているか(数や運営面)
 ・ダイバーシティーの観点から問題はないか
 ・備蓄・支援物資の準備状況と搬送体制(物資ニーズの把握を含め)はどうか
 ・情報管理はどうか(デマ情報対策、町民への情報発信)
 また、我が議会においては「災害対策要綱」を策定しているところですが、「熊本市議会災害対策
会議設置要綱」を参考にして検証と見直しを図り、より実態に即した取り組みとなるよう改善に努め
たいと思います。

研修―3

訪問先:  福岡県北九州市役所
対応者:  村上 恵美子 市環境局グリーン成長推進部環境イノベーション支援課長 
             技術士(環境・総合技術管理)
      中川   崇 市同局同部同課主査

(参考情報)
北九州市の概要:
所在地:  〒803-8501 福岡県北九州市小倉北区城内1番1号愛知県知多ケ坪1
面積 :  491.69㎢ 
人口 :  令和4年2月1日現在 929,113人(435、916世帯)
予算 :  令和4年度当初予算一般会計
    歳入  608,218,000千円
       主な内訳: 市税      177,993,000千円(29.3%)
             地方交付税    67,500,000千円(11.1%)
             国庫支出金   114,204、528千円(18.8%)
             市債        46,840、000千円(7.7%)              
    歳出  608,218,000千円
      主な内訳: 議会費     1,651,378千円(0.3%)
               総務費    45,495,714千円(7.5%)
            保健福祉費 169,211,489千円(27.8%)
            子ども家庭費 70,879,152千円(11.6%)
                                              環境費    18,209,430千円(3.0%)
                                              労働費       456,332千円(0.1%)
                                              農林水産業費  2,330,389千円(0.4%)
           産業経済費  88,131,327千円(14.5%)
           土木費    35、059,239千円(5.8%)
                                              港湾費     7,976,315千円(1.3%)
                                              建築行政費   8,741,259千円(1.4%)
                                              消防費    12,304,013千円(2.0%)
           教育費    70,126,697千円(11.5%)
           災害復旧費     100,147千円(0.0%)
           公債費    65,900,000千円(10.8%)
       令和4年度当初予算特別会計(27会計) 99,250,000千円

議会:
議員定数  条例定数 57人  現在数 57人
会派制   10会派
委員会   常任委員会(総務財政:10人、経済港湾:9人、教育文化:10人、
            保健福祉:10人、環境水道:9人、建設建築:9人)
      議会運営委員会:8人
       選出方法:各会派から、先例で定める人数の委員を選出
            会派所属議員  5~ 9人   1人
                   10~14人   2人
                   15人以上    3人(定限)
報酬    議長:1,090、000円   副議長:980,000円
      議員:880,000円
    (参考:三役給与)
      市長:1,230,000円  副市長:980,000円
      教育長:830,000円  
政務活動費 月額35万円×所属議員数(会派に支給)×12月
議会局組織 定数 44人  現員31人
      局長 1  次長 1  課長 3  主幹 1 係長 14  課員 11

〈研修概要〉

 〇 北九州エコタウン事業について
  ~ 世界の環境首都を目指して ~
1.環境問題への積極的な取り組み
  日本の近代産業は、1901年に、国内初の本格的近代溶鉱炉を持つ官営八幡製鐵所が開始
 した北九州市で幕を開けた。北九州工業地帯は、四代工業地帯の一つとして日本の高度成長を
 支えてきたが、その一方で、1960年代に深刻な産業公害をもたらした。
  この公害問題に対して、市民・企業・自治体が一体となって取り組んだ。かつては大腸菌す
 ら棲めない「死の海」と呼ばれた洞海湾には、100種類以上の魚介類が戻ってきた。
 「七色の煙」と呼ばれ、日本一の降下ばいじんを記録した空は、国から「星の街」に選定され
 るまでに改善され、美しい海と空を取り戻した。
2.公害克服の経験を活かした環境国際協力
  北九州市は、公害克服の過程で培った技術を開発途上国の環境改善に役立てようと、
 1980年代から専門家派遣や研究員受入れなどを行ってきた。また、市民・企業・自治体が
 一体となった環境の取り組みは、国際的にも環境改善のモデルとして高く評価されている。
3.エコタウン事業
(1)事業成立の歩み
   エコタウン事業は、ある産業から出るすべての廃棄物を新たに他の分野の原料として活用
  し、あらゆる廃棄物をゼロにすることを目指し、先進的な環境調和型のまちづくりを推進す
  ることを目的として、1997年に国で創設されたものである。
   北九州市は、長年にわたる「ものづくりのまち」としての産業基盤や技術力、公害克服の
  過程で培われた人材・技術・ノウハウ等を活かし、資源循環型社会の構築を図るため、「環
  境保全政策」と「産業振興」を統合した独自の地域政策として、1997年7月に国から認
  定を受けた後、「北九州エコタウン事業」を推進している。
(2)北九州エコタウン事業の特徴
 ① 産学官の強力な連携のもと事業を進めている。
 ② 既存産業集積地や学術研究都市が近接している。
 ③ 広域的には器物を取扱うことが可能である。
 ④ エコタウン内各企業、市内のリサイクル産業、さらに区域内の管理型処分場との連携・活用
  により安全・確実な処理が可能である。
 ⑤ 情報の公開に努め、市民との双方向のリスクコミュニケーションを進めている。
 ⑥ 市窓口の一本化による手続きの迅速化を行っている。
 ⑦ 原料となる廃棄物の確保や再生品の活用を支援している。
 ⑧ 環境未来技術開発助成制度により、環境分野の実証研究、社会システム研究、FS研究*を支
  援している。
   *FS研究とは、FSはフィジビリティスタディの頭文字を表し、プロジェクトの実行可能性を
    事前に調査・検討することで「実行可能性調査」「企業化調査」「投資調査」「採算性調
    査」するものです。
(3)エコタウンのこれまでの成果
  ・事業数    26事業
  ・実証研究数  62研究
  ・雇用者数   約1,000人
  *総投資額 863億円
    民間  652億円
    国等  139億円
    市    72億円

4。北九州市の環境産業振興の戦略
  基礎研究から技術開発・実証研究・事業化に至るまでの総合的展開を図る。
 ➀ 教育・基礎研究 → 北九州学術研究都市
   ・環境政策理念の確立
   ・基礎研究、人材育成
   ・産学連携拠点
  → 大学・・・早稲田大学、北九州市立大学、九州工業大学、福岡大学の4大学
       研究機関等・・・早稲田大学、福岡県リサイクル総合研究事業化センター、(独)産業技術総
            合研究所 ほか
 ② 技術・実証研究 → 実証研究エリア
   ・実証研究支援
   ・地元企業のインキュベート
         → 福岡大学、九州工業大学、福岡県リサイクルセンター、各分野での実証研究、北九州市エ
                 コタウンセンター
 ③ 事業化
   ・各種リサイクル事業、環境ビジネス展開
   ・中小・ベンチャー事業の支援
          ↓ 
   ・ 総合環境コンビナート
              リサイクル工場の集積
      ・ 響リサイクル団地
              地元中小、ベンチャー
      ・ 響灘東部地区
    リサイクル工場、風力発電(2カ所)
   ・  その他の地区
   リサイクル、リユース工場
5.みどりのノート
  SDGs教育の一環として小学生向けに作成された教材であり、1~2年生用と5~6年生用が提供
 され、教師用指導書も準備されており、教育を通じて子ども時代から環境問題を考える力を養育す
 る仕組みが整えられている。

(研修結果)
  北九州エコタウン事業については、さすがに北九州市規模の都市であるからこそ推進できるプロジェクト
 であるとの感想を持たざるをえませんでしたが、そこには、単なる規模だけではなく、歴史的な背景と必然
 性がまた存在することも理解できました。
  また、将来の街の発展に向け、それらの負の遺産を行政運営に活かしてきた先達等の行政手腕に大いに感
 心させられるとともに、政治が果たす役割について議員としてあらためて考えさせられました(自省)。
  規模的に比較にならない野木町ですが、今回の研修を通じて当町の参考となりえるのではないかと思われ
 る事項について、私なりに整理すると以下の通りです。
 ① 専門分野の業務に応じられる人材確保に向けた職員育成を図ること
   一般的な職員研修とは別に、行政分野の将来動向に応じられる人材(職員)の確保に向けた職員育成を
  積極的に推進する。
 ② 外部人材の積極的活用を図ること(急務)
   専門分野のノウハウの活用については、外部人材の活用を積極的に推進する。
  差し向きの事例としては、ICT化等のDX事業に携わる人材としてCIO補佐、実務推進責任者クラス
 ③ 企業誘致の戦略策定を策定すること
   町の将来構想を想定した上で、これとリンクした企業誘致戦略を策定する。
  単なる企業誘致ではなく、北九州市のレベルまでいかないまでも関連企業集約を前提にした企業誘致を目指
  す。
   * 町が生き残っていくためには、誘致企業の存在が必須であり、そのためには、誘致企業の将来動向に
    少なくとも関心を払うことは必然である。
 ③ SDGsの将来に向けた推進の取り組みを図ること
   北九州市でのSDGs推進の一環として導入されている教材(みどりのノート)を参考にして、教育機関向け
  の推進体制を確立する。
 ④ 「ふるさと納税」を活用した収入確保を図ること
   財政確保の面から「ふるさと納税」を活用した収入確保を積極的に進めるため、取り組み強化を図る上で
  推進体制を強化する。
                                               以上

 視察報告は、以上になります。
ここに来て、新型コロナウイルス感染者数が増加傾向を示してきているとともに、国内でも新たにサル痘という
新たな感染病罹患者が出始めています。
皆さまには、くれぐれも感染対策と社会活動の両立を図りながら日常生活を送っていただけますようお願いいた
します。