令和4年度文教民生常任委員会の視察研修を実施!

 令和4年11月1日(火)~2日(水)の2日間の日程で、今年度の文教民生常任委員会の所管事項調査
が実施され、委員として参加しましたので、その模様を報告します。
調査事項は委員会で検討した結果、「ぴんころ運動推進事業について」と「子育て就労総合支援センターに
ついて」ということになりました。
目的としましては、高齢者の健康寿命の延伸の取組みと子育て世代への複合的な取り組みについて先進地を
視察し調査することです。
その目的に沿って委員会メンバで検討し、視察先は、長野県佐久市と同県須坂市に決めました。
具体的な調査事項は以下のとおりです。
佐久市につきましては、
 ・ぴんころ運動推進事業について
 また、
 須坂市につきましては、
 ・子育て就労総合支援センターについて
です。

〈 佐久市 〉
◆ 出席者(敬称略)
  野木町議会
   鈴木 孝昌(正) 梅澤 秀哉(副) 松本 光司 舘野 孝良 
   眞瀬 薫正 宮崎 美知子 黒川 広
   新井 小波子(事務局係長) 渡邉 真弓(補佐兼資産税係長)
   細井 裕(運転手)

  佐久市議会・役所
   吉川 友子(副議長) 工藤 清美(健康づくり推進課長・保健師) 
   三石 恵子(健康増進課管理栄養士) 竹内悠樹子(議会事務局主任)

  次に、訪問先において説明を受けた内容について概要を報告します。

  • 市の概要
    ・ 長野県の東部にあり、県下4つの平(盆地)の一つである佐久平に位置し、北に浅間山、南に八ヶ
     岳連峰をのぞみ、蓼科山・二子山(八ヶ岳中信高原国 定公園)、荒船山に囲まれ、千曲川賀詞の中
     央部を南北に貫流する自然環境に恵まれた高原都市です。 
    ・ 市の木:からまつ、市の花:コスモス、市の魚:佐久鯉
    ・ 総面積は423.5㎢、海抜692m(市役所)となっています。
    ・ 令和4年4月1日現在、人口 98,317人、世帯数42,853世帯、令和2年時点になりま
     すが、産業別人口 第1次7.9% 第2次28.0% 第3次61.9%、分類不能2.2%とな
     っています。  
    ・ 令和4年度一般会計予算額は49,600,000千円(市税11,500,000千円)です。 
    ・ 普通交付税は10,629,243千円です。
    ・ 臨時財政対策債は870,000千円です。
    ・ 令和4年3月末 財政調整基金は 7,045,656,000千円です。 
    ・ 令和4年3月末 市債残高46,662,598千円です。 

  • 議会の概要
    ・ 議会費は282,955千円(令和4年度)です。
    ・ 条例定数は26人、現議員数は26人です。
    ・ 常任委員会は、総務文教常任委員会9人と経済建設常任委員会、社会常任委員会各8人、予算常任
     委員会25人で構成されています。
    ・ 議会運営委員会は定数10人で、各会派(7会派)に所属する議員数に応じて選出します。
    ・ 特別委員会は、総合交通対策8人、議会活性化8人、広報公聴12人
    ・ 委員等の任期は、議長及び副議長は申し合わせにより2年、常任委員会・議会運営委員会は委員会
     条例により2年、特別委員会は申合せで2年となっています。
    ・ 議員報酬
       議長 461,000円  副議長 383,000円 
       議員 349,000円
    ・ 政務活動費
       会派(所属議員数)に対し、一人あたり年額 180,000円
    ・ 行政視察経費
       常任委員会  1人 100,000円限度
       議会運営委員会  1人 100,000円限度
       特別委員会  1泊2日。公用車を利用。日当、宿泊費を費用弁償。      
              各年にて実施。 *日当 2,600円  
                       宿泊料 県外13,100円                                                            
                           県内11,800円
    ・ 議会事務局 定数8人 現員 6人 外に会計年度任用職員1人
       事務局長(1)・・・次長(1) 係長(2)・・・書記(2)

◆ ぴんころ運動推進事業について
 長野県は平均寿命が全国トップクラスの長寿県といわれています。その中にあって、佐久市は特に平均寿命
が長く、高齢者は生涯現役を目指して生きがい豊かに暮らしているまちです。佐久市は健康長寿都市を宣言し
ています。
 高齢者社会において、いつまでも健康で長寿を楽しみ、活動的に社会に参加しながら生活し続けることは、
全市民共通の願いであります。
 市民誰もが、健やかで生きがい豊かな人生を全うできることを目指すための、健康長寿都市を宣言したの
で、相応する事業として「ピンピンコロリ」をキャッチフレーズに、生活習慣病予防のための啓発活動を保険
・医療・商工・観光などの関係機関等と連携をはかりながら実施し、市民の健康づくりを推進するとともに、
健康長寿を図ることを目的とした事業です。
( 基本構造 )
 みんなが生涯現役で済みよい健康長寿のまちの形成
( 事業目的 )
 生活習慣病予防のための知識の啓発と健康づくりの推進
( 事業概要 )
 ぴんころを核として、健康づくりの発祥のまちと位置づけて事業を実施する。
( 事業内容 )
 ➀ 生活習慣病予防講座
  ・ 健康に関する講座
  ・ ぴんころ食の紹介
  ・ 健康・栄養相談
 ② ぴんころステーション
  ・ 栄養講話
  ・ 健康・栄養相談
  ・血圧測定
 ③ ぴんころ食の普及
  ・ 佐久の健康長寿を支える生活習慣を基盤に長寿の知恵と工夫を盛り込み、食文化の伝承を基にして、佐
久地方の食材を使ってぴんころ食で長寿を計り「楽しく」「美味しく」健康長寿食を掲げ、佐久市の保険補導員
の協力により、きめ細 やかな地区運動のもとでタイアップして、長寿のまちとして全国に発信できる事業とし
ていく。
 ④ 食育の推進
  ・ おやこの食育教室、サクサク食育応援隊上)
  *1 ぴんころ食とは・・・
    ・ 「ぴんころ御膳」は、佐久市栄養士会佐久支部に委託し、考案されたレシピ。
    ・ 「ぴんころ弁当」は、ぴんころ御膳を基本として考案されたレシピ。
   *2 ぴんころ御膳・・・
     ・ 午前は、標準的な1食のエネルギーを600Kcal前後に抑える。
       1食の塩分の目安は3~3g
     ・ 四季折々に地元からとれる食材を利用した懐かしい料理、佐久で栽培されているニューフェイス
      の食材(野菜)を組み入れ、見て、食べて、おいしく、楽しい御膳として作成。
     ・ 生活習慣病予防のための啓発活動につなげる。
   *3 ぴんころ弁当
     ・ 健康長寿の佐久に伝わる懐かしい料理を盛り込み、昔から食してきた食材を使用。お弁当の基本
      は五感で楽しみ、主食・主菜・副菜・副々菜により栄養価のバランスを配慮し作成。
     ・ 「ぴんころ弁当」は「ぴんころ御膳」を基本として作成されており、御膳とは豪華な食事として
      とらえられるが、弁当は食事作りの根底である家庭に手軽に取り入れてもらう要素があり、食生活
      の見直しをしてもらうきっかけにつなげる。
    ・ 生活習慣病予防のための啓発活動につなげる。

〈 須坂市 〉
◆ 出席者(敬称略)
 野木町議会 
  鈴木 孝昌(正) 梅澤 秀哉(副) 松本 光司 舘野 孝良 
  眞瀬 薫正 宮崎 美知子 黒川 広
  新井 小波子(事務局係長) 渡邉 真弓(補佐兼資産税係長)
  細井 裕(運転手)

 須坂市議会・役所
  牧 章一(議会事務局長) 山田 洋(議会事務局主査) 
  山岸 和美(子ども課長兼福祉事務所次長) 内藤 賢孝(子ども課長補佐兼子育て支援係長)
  岩下 正志((株)GooLight bota事業部部長)

  次に、訪問先において説明を受けた内容について概要を報告します。

  • 市の概要
    ・ 長野県の北部、長野盆地(善光寺平)の東部に位置し、千曲川をはさんで長野市と接しています。上
     信火山帯の根子岳、浦倉山などの険しい山岳地帯に源を発する鮎川、百々川、八木沢川、松川が押し出
     した大きな扇状地上に市街地が形成されています。
    ・ 大正時代、製糸業は全盛期を迎え、世界に知られた生糸のまちになり、その躍進とともに、経済・交
     通・通信も発達しましたが、昭和になると、4年の世界大恐慌やナイロンの発明などでr製糸業は衰え、
     替わって、戦後は電子工業が急速に発展を遂げてきました。
    ・ 昭和29年4月県内7番目に市制施行をし、その後3村を併入合併して昭和46年4月に現在の須坂
     市域となっています。
    ・ 基幹産業である製造業をはじめ多様な産業がバランス良く発達し、蔵の町並みをはじめとする歴史的
     文化財や豊かな自然と景観を誇る須坂市は、「『豊かさ』と『しあわせ』を感じる協創のまち 須坂」
     を目指して歩んでいます。
    ・ 総面積は149.67K㎡です。
    ・ 令和4年10月1日現在(住民基本台帳)、人口 49,864人、世帯数20,537世帯です。
    ・ 市の木:くますぎ、市の花:れんげつつじ
    ・ 令和4年度一般会計予算(当初)は24,930,000千円です。
    ・ 市税は6,144,000千円です。
    ・ 地方交付税は5,100,000千円です。

  • 議会の概要
    ・ 議会費は210,527千円(令和4年度当初予算)です。
    ・ 条例定数は20人、現議員数は19人です。
    ・ 会派数は7会派です。
    ・ 常任委員会は、総務文教7人以内(6人)、福祉環境6人以内(6)、経済建設6人以内(6)で
     構成されています。*( )内は現員数
    ・ 特別委員会は、市議会広報8人以内(7)、予算決算19人(18)*議長を除く、インター周辺
     等開発19人(18)、市議会議員選挙の課題等検討10人以内(9)、市議会デジタル活用推進
     19人(18)です。 *( )内は現員数
    ・ 議会運営委員会は定数10人以内(7)で構成されています。*( )内は現員数
    ・ その他の委員会等
      会派代表者会議、全員協議会、防災委員会、委員長会
    ・ 議長等の任期
      議長・副議長   2年 (議会会議運営等規程)
      常任委員会の委員 2年 (委員会条例)
      議会運営委員会の委員 2年
    ・ 議員報酬
      議長 460,700円 副議長 391,000円
      議員 358,700円
    ・ 政務活動費
      一議員、年額180,000円とし、年度分を一括して会派に交付
    ・ 行政視察経費
     常任委員会  1人 110,000円限度
     議会運営委員会  1人 90,000円限度
     特別委員会  1人 40,000円限度
            車賃 1Kmにつき37円
            食卓料 1夜につき2,600円
            日当、宿泊費を費用弁償     

           *日当 1日につき2,600円  
            宿泊料 県外13,100円                                                            
                県内11,800円
   ・ 議会事務局 職員定数6人 
   事務局長(1)・・・次長(1)・・・次長補佐(1)・・・係長(3:兼任2)
   ・・・係員(3:兼任2)  
◆ 子育て就労総合支援センターについて
   ・ 建設の経緯
    子育て支援センターを駅前ビルシルキー内へ移転し、複合機能施設を整備する産官共創事業が2020
   年9月に民間事業者から提案されました。
   須坂市が抱えていた課題(子育て支援センターの移転、須坂駅前ビルシルキーの活用)を解消する糸口と
   して、提案を承諾し、国の地方創生拠点整備交付金を活用して施設整備を行いました。
     ・ 整備にあたっての基本方針
    本案件が産官共創事業の提案と採択から始まっていることから、施設全体像は産官共創事業提案者の意
   向を最大限尊重し、市及び教育委員会と(株)Goolightで随時協議を行いながら施設設計(機能や配置)
   を進めました。
    ・ 施設名称と愛称
    施設名称は施設目的が明確に伝わる表現として「須坂市子育て就労総合新センター」としました。
    愛称は、名称とロゴの公募(プロポーザル)、意見集約・決定までの期間が不足していることなどの理
   由により、行政側による愛称設定は見送りとし、指定管理者が愛称及びロゴの設定を実施しました。
    bota(ぼーた)とは、市内に点在するぼたもち石のように、須坂の暮らしを支える施設になることを願
   い根付けました。
   ・施設目的
 (1)子育て世代がメインターゲットのワンストップ行政サービス拠点
   整備予定施設とは別施設となっていた子育て支援センターを整備拠点に統合し、同施設2階に常設する就
  労支援センターとも密な連携を図りながら、就労相談・利用者用託児など子育てから交流、そして就労まで
  一貫したワンストップの支援機能を有する多機能・分野横断型のサービスを提供できる市の中核拠点として
  活用します。
   併せて、市が行う事業であるファミリー・サポート・センター事業、就労支援事業、一連の子育てに関す
  る相談事業等を一体的に提供し、行政サービスのワンストップ化を実現します。
 (2)幅広い世代が利用する複合機能拠点
   コミュニティスペースやカフェ、濁世の居場所、地場産品の販売、コワーキングスペース、ワーケーショ
  ンの拠点として複合的な機能を持つ拠点として活用を図ります。
 (3)新たな働き方を支援する拠点
   時間の長短や個々の属性にとらわれない多様な就労機会を積極的に生み出す拠点として、また市の魅力を
  積極的に発信する拠点として活用を図ります。
   ・整備事業の概要
 (1)整備場所   須坂駅前ビルシルキー1階
 (2)工事期間   2021年10月から2022年5月まで
 (3)開設期間   2022年7月1日供用開始
 (4)工事費用   総額395,490,480円
      ・今後の施設活用(地方創生推進交付金事業)
 (1)事業期間
   2022年度から2024年度(3年間)
 (2)事業金額
   約2億4千万円(239,500千円)
 (3)事業内容
    子育て就労総合支援センターを拠点とし、子育て世代をメインターゲットに子育てと就労双方からのソ
   フト支援は主に新たに設立した協議会で検討・実施。
   ハード整備は行政で実施し、指定管理委託料も交付金対象事業とします。
   *協議会の構成は、中央児童センター親子会代表、ハローワーク、須坂市、保育園代表等です。
   ・就労支援に係る連携
   就労支援は市の管轄外業務が大半であることから、厚生労働省所管長野労働局管内須坂公共職業安定所と
  覚書を締結し、より緊密な連携体制強化を図っています。
  具体的な事業として、bota内での就労セミナーと個別相談会の開催、子育てと仕事の両立できる求人の紹介
  を手始めに行います
  ・地方創生推進交付金事業
 (1)2022年度(1年目)事業について(事業費:116,000千円)
   ①子育て・就労支援総合拠点管理運営事業(指定管理料:75,000千円)
   ②子育て世代の就労希望状況等に関するニーズ分析調査事業
   ③働き方改革、子育て・就労両立のための支援講座検討事業
   ④働き方改革支援セミナー実施事業
   ⑤子育て世代相互交流・コミュニティ形成事業
   ⑥施設情報配信事業
   ⑦関連ハード整備
    子育て・就労総合支援拠点スロープ改修工事、大型マルチスクリーン映像システム設置費用、自動ドア
    設置工事費
 (2)2023年度(2年目)事業について(事業費:107,000千円)
   ①子育て・就労支援総合拠点管理運営事業(指定管理料:75,000千円)
   ②就業希望者のための業務スキルアップ講座
   ③働き方改革啓発促進事業
   ④子育て世代相互交流・コミュニティ基盤創出事業
   ⑤施設情報配信事業
   ⑥子育て応援企業スタートアップ支援事業
   ⑦いきいき!職場改善支援金助成事業
 (3)2024年度(3年目)事業について(事業費:106,500千円)
   ①子育て・就労支援総合拠点管理運営事業
   ②就業希望者のための業務スキルアップ講座
   ③働き方改革啓発促進事業
   ④子育て世代による創業等スタートアップ支援事業
   ⑤施設情報配信事業
   ⑥いきいき!職場改善支援金助成事業

  〈研修結果 〉
1.今回、佐久市については、上記で報告したように「ぴんころ運動推進事業」の取組みを主題に調査・視察を
 行いました。高齢社会の進展により高齢者がいつまでも健康で長寿を楽しみ、活動的に社会に参加しながら生
 活し続けることは、生きがい豊かな人生を全うできることを目指すだけではなく、高齢者の医療費・介護費を
 抑制するうえからも重要なことといえます。
  佐久市の取組みは、市民運動として健康意識(ぴんころ運動)が住民に浸透していることは素晴らしいと感
 じました。そのため、行政と市民が一体となった取り組みが推進できる環境にありますので、施策効果も高い
 と思われます。そこまで持ってくるのには先人(二人の医師)のお力があったとのことですが、それを継続し
 て発展させてきた首長と市民の理解と力があったからこそとおもわれます。
  はたして我が野木町でそこまでの環境を整えられるかと言えばやや疑問に思われるところでありますが、こ
 れからの健康寿命100年時代を目指すうえでは進むべき方向と考えます。
  医療費、介護費の抑制に努めると言葉で言うのは簡単ですが、その裏付けとなる施策が伴わないようでは政
 策ではないでしょう。
  今後の高齢者の増加に向けた取り組みとして議会、執行部共に参考にしたいと思います。

2.また、飯坂市については、「須坂市子育て就労総合支援センター」の取組みを主題に調査・視察を行いまし
 た。少子化の進展に伴い子育て世代の子育てと働くことを支援していくことは重要な課題となっています。
 須坂市での取組は多世代が交わって学びあうことができる場所を提供するものであり新しい取り組みを始めた
 ものですが、家庭、企業、地域における取組みも一体的に体系づけて取り組まれています。
  翻って、我が町を振り返って見たとき、各分野や施策間の連携が一体的に体系づけられたものとなっている
 のか疑問といわざるを得ません。新しい事業を検討・開始することも大事ではありますが今一度、これらの視
 点で見直してみることも効率や効果の面で重要と考えます。