ICT(情報通信技術)の活用を考える!

 本日の下野新聞朝刊記事に「住民サービス向上へ総務省 AI自治体共同で導入 20年度に先行モデル
事業」が掲載されていました。
記事の内容を要約すると、次の通りです。
・人口減による松蔭不足に備え、人口知能(AI)を活用して住民サービス向上や業務効率化を図る自治体
 の増加を目指す。
・複数市町村が共同して関連システムを導入・利用するよう促す方針を決めた。
・2020年度に全国7ヵ所程度でモデル事業を実施し、ノウハウを蓄積して全国に広める考えである。
・モデル事業は、複数の市町村とIT企業でつくるグループで実施する。
・どのような分野でAIを活用できるか協議し、必要なシステムを開発する。
・モデル事業の成果やシステム導入の手順などは、同省が「自治体AI活用ガイドブック(仮称)」にまと
 め、全国の自治体に参考にしてもらう。
・住民記録や税金、福祉などの業務に使っているコンピューターシステムは現在、自治体ごとに仕様が異な
 っており、維持更新費が膨らんでいる。
・AIシステムの共同導入は、人口減で税収の先細りが見込まれる中、自治体の支出を効率化する狙いもあ
 る。

 ICTについては、これまでにも「マイナンバーカードの導入について!」や郡山市役所(品川市長様)
訪問の既報告において、私の考えを述べさせていただいているところでありますが、郡山市において品川市
長様が取り組まれている、保育施設への入所事務にAI・RPAなどを活用したシステム(導入予定(令和元年
11月~)などは、その良い事例になるかとおもわれます。
郡山市においては、周辺市町村15自治体で「こうりやま広域連携中枢都市圏(こうりやま広域圏)」を形
成していますが、この形態であれば、この度の総務省の方針にマッチングした対応が取りやすいと想われま
す。
わが町については、小山市と広域定住自立圏を締結していますが、あくまでも一対一という広域連携形態で
あるため、手を挙げることは難しいのではないでしょうか。
検証の結果になるかとおもいますが、共通的な事務処理システムに絞られることになるのではないかと考え
ます。
今すぐに思い付く事例としては、施設予約システムや議会関連の議事録作成・予算書・決算書、道路台帳・
埋設物管理などですが、その他にもモデル事業により多くのシステム化が図れることとおもいます。
 反面、現状の国の方策である「地方創生戦略」の基本的な考え方では、各自治体が特徴ある施策を展開す
る方向が求められていることでもあり、創生戦略事業に係る処理を共通システム化することは限られると思
います。
 また、完成形は汎用的なパッケージソフトによるシステムになるかと考えられますが、現在のサービス提
供者である既存IT事業者への影響が懸念されます。
 加えて、総務省が提供する業務ソフトであることから、地方自治体と国との地方自治のあり方にも係わっ
てくる問題でもあるように想われます。
 私が考えるところでは、エストニアでのマイナンバーカードの利用形態を終局的な目標と位置付けたうえ
で、常にその将来計画に合致した方向でシステムを構築していくという視点が求められると思います。
 今回の総務省の方針は、今後の人口減少に伴う労働人口の減少を考えると必要な方向であると理解します
が、システム化を図るということは、業務を共通化することでもあり、各地方自治体の運営の共通化に通じ
るものです。
ゆくゆくは現状の地方自治体及び地方行政の在り方に関わってくる問題を包含しているとおもわれます。

参考:
 ― 平成15年に掲載 ―
 わが町の広報誌のあり方を考える上で参考にするため古河市の広報誌7月版を入手しました。掲載されている記事を読み進める中で「ICTを活用した教育・学習を支援~市とNTTドコモが共同研究の協定を締結~」という記事が目に留まりました。
 記事の要旨は、「タブレット端末を教育現場で活用した共同研究を行う協定を締結した。学習用タブレット端末を小・中学校に導入。学校の授業のほか、校外や自宅でも学習しやすい環境を構築し、一人ひとりに最適な教育を行うことで学力向上を目指します。」という内容です。

 記事で取り上げられている古河市の事例は教育分野での活用方法ですが、その外の市町村でもいろいろな行政分野での活用事例が報告されています。
平成26年に議員視察で訪問した南房総市においては、総務省の補助事業を利用し地域活性化やICT 人材育成・活用、雇用創出でICTを活用しています(南房総市ユビキタスプロジェクト)。

 ところで、わが町の現状はどうでしょうか。
町の行政事務を処理する手段としてICTを活用していますが、事務処理の範囲を超えた利用にはなっていないように想われます。
何故その域に止まっているのでしょうか。
いろいろな要因があると思われますが、私としては、次のようなことが主な要因と考えています。
1.ICTに係わる職員の問題
  端的に言えば、ICTの活用方法を分かる職員がいないということです。
 行政で導入しているシステムは、いわゆる行政システムと言われる既存パッケージシステム(財務会計、
 住民基本、保健・年金等の業者が開発したソフトを利用したシステムであり、業者に任せれば専門家に近い
 職員は不要)であり、パンフレットレベルの知識で導入が可能です。
  だからと言って、ICTの技術的な専門知識を有する職員である必要もありません。
 技術的な専門知識はそれこそ業者の技術者に任せればよいのです。
 求められるのはICTの動向や活用方法を理解し、推進できる人材です。
 そのためには、それに対応できる人材を育成することではないでしょうか。
 それこそ政策判断に係わる事柄ですので、職員個々人の学習に任せることではないでしょう。
 町として職員の能力開発に取り組むことです。
 また、専担組織の設置も検討課題です。

2.行政トップの認識の欠如
  表現が強すぎるかもしれませんが、ICTの活用については、一義的にトップの認識にかかっています。
 そのためには、行政トップ自らが行政を取り巻くICTの動向に常に着目していなければならないでしょう。
 行政分野以外の動向にも感覚を研ぎ澄ましておくことが求められると考えます。

3.政策の先取性
  野木町版地方創生の取り組みにも係わることですが、他市町との競争になるわけですから、固有の特徴ある     政策を展開することが求められます。
   先取性のある施策を企画し実行する姿勢があれば、ICTの活用は有効な武器になりえると考えます。

 
 これまでにもICTの活用問題については執行部に提言してきていますが、残念ながら上述したように執行部に受け止めるだけの認識がないようです
 執行部の共通的な課題と言えるのかもしれませんが、新しい分野に果敢にチャレンジする姿勢が弱いように感じらます。
 業務効率化や地域活性化を積極的に推進するという公約を果たす上ではICTの活用は避けて通れないでしょう。

  翻って、我われ議会はどうでしょうか。
 執行部側に業務効率化を求める限りは議会として率先してICTの活用を検討・導入すべきであると主張してきていますが、これもなかなか前進しません。  
 タブレット端末を導入し、会議やイベントなどの各種通知、一般質問の通告・原稿報告等で活用すれば議会事務局業務の効率化につながります。
 緊急時の相互連絡にも生かせます。
 使っていく中で用途は広がっていくものです。
 率先して新しいことに挑戦するという姿勢は議会人にとって必須ではないでしょうか。
 一事が万事!