10月13日(木)~14日(金)の2日間の日程で、今年度の文教民生常任委員会の所管事項調査が実施
され、委員長として参加しましたので、その模様を報告します。
調査事項は委員会で検討した結果、「子育て支援と教育行政」ということになりました。
目的としましては、子どもの成長過程を支える環境づくりに視点を置いた施設の設置と運営、教育大綱の策定
について、先進地を視察し調査することであります。
その目的に副って委員会メンバで検討し、視察先は、長野県小布施町と同県御代田町に決めました。
具体的な調査事項は以下のとおりです。
小布施町につきましては、
・子育て支援センター(エンゼルランドセンター)について(概要説明~施設見学)
・町立図書館(まちとしょテラソ)について(概要説明~施設見学)
また、御代田町につきましては、
・子育てガイドブックについて(概要説明)
・教育大綱について(概要説明)
次に、訪問先において説明を受けた内容について概要を報告します。
◆小布施町
(町の概要)
・ 昭和29年2月に小布施村が町制を施行し、同年11月1月に都住村と合併して現在の小布施町が誕
生しました。
・ 善光寺平の北東部に位置し、県都長野市の生活圏に入っており、東に高山村、西に長野市、南に須坂
市、北は中野市と接しています。
総面積は19.12㎢、標高390~330mの平坦な地で、北西に緩やかに傾斜しています。
・ 平成27年10月1日現在、人口 10,704人、世帯数3,531世帯、平成22年時点になり
ますが、産業別人口 第1次24.1% 第2次25.7% 第3次50.2%であり、特筆する産業
はリンゴ、ブドウなどの果物栽培と栗による観光です。
・ 平成28年度一般会計予算(当初)は4,532,000千円です。
特別会計は7会計合計で、3,668,985千円です。
(議会の概要)
・ 議会費は75,672千円(平成28年度)です。
・ 条例定数は14人、現議員数は14人です。
・ 常任委員会は、総務産業、社会文教、政策立案、議会広報の4常任委員会で、各7人で構成されてい
ます。
・ 議会運営委員会は定数5人で、副議長、常任委員長(議会広報を除く)、議員で構成します。
・ 特別委員会は、議員定数等検討特別委員会(定数6人)、予算特別委員会(議長を除く13人)、決
算特別委員会(議長、監査委員を除く12人)です。
・ 平成22年3月から通年議会を実施しています。
議会の定例会の回数を年4回から年1回とし会期を約1年間とするもので、会期にとらわれず十分にか
つ活発な議論が可能となっています。
通年議会の実施により、原則、町長による専決処分がなくなり、また、住民の要望である請願や陳情
を処理は、年4回の定例会ごとに行っていたものが、会期中は議長が議会を再開することができるため
にいつでも審議することができ、迅速な対応が可能となっています。
*「小布施町の専決処分事項の指定について」を定めて専決処分事項を以下のように限定しています。
1 1件100万円以下の和解や損害賠償額の決定に関すること。
2 法令の改正又は廃止に伴い、その法令の題名、条項又は用語を引用する条例の規定を整理する
必要が生じ、かつ、町がその条例を改正するに当たり、独自の判断をする余地はない場合におい
て、その条例を改正すること。
3 会計年度末における日切れ扱いの地方税法の改正に伴う当然必要な条例を改正すること。
* 通年議会を導入したことによりいつでも議長の判断で議会の招集を行うことができることと
なったため、町長の専決処分を制限する意味から専決処分事項を決定したものです。
・議員報酬
議長 264,000円 副議長 193,000円 議員 172,000円
常任委員長 176,000円 議運委員長 176,000円
・議会事務局
事務局長(1)・・・ 書記(1)
(子育て支援センター((エンゼルランドセンター))
・ エンゼルランドセンターでは就学前の親子を対象に、子どもたちと親同士がふれあいながら
交流の輪を広げ、楽しく子育てができるよう支援しています。親子で、またはおじいちゃん、
おばあちゃんと一緒にお出かけください。
開館時間内はいつでも利用できます。
*開館時間 毎日 AM9:30~AM4:308土曜日・日曜日・祝祭日も同じく利用で
きます)
休館日 年末年始(12月29日~翌年1月3日まで)
利用料 無料(企画の内容により参加費などをいただく場合があります)
申込方法 登録申込書にご記入のうえ、エンゼルランドセンターまたは、教育委員会・子
ども教育グループへ提出していただいています。
運営職員 4名で運営しています。
・ センターの機能
〇 子どもが自由に遊べる場・・・子どもたちが自由に動き、自発的に遊べる場です。
楽しく遊びながら、子ども同士の関わり合いが豊かになる
ように援助します。
〇 親同士の交流・学習の場・・・子どもたちの遊ぶ様子を見ながら、親同士が自由に交流し
たり、気軽に子育てについて学び合う場所です。
親子で参加する企画や、講座などを行うとともに、講演会
など学習の場を提供します。
〇 子育てについて相談に応じる場・・・子育てについての様々な相談に応じます。
どんなことでも気軽に度相談ください。
〇 子育てに関する情報を提供する場・・・子育てに関する様々な情報を、提示版や図書・資
料・センターだよりなどにより提供します。
・活動内容
〇 あそびの広場・・・子どもの年齢に合わせて、親子で参加できる遊びを行います。
同年齢の子どもを持つ親子が集まって一緒に遊んだり、子育てについ
て語り合いながら仲間作りをしていきます。
〇 各種講座・企画・・・各種講座や企画を行います。
いろいろな経験を通して、親子ともに楽しめるような子育て支援を
行います。
〇 相談事業・・・子育てについての悩みや、不安などいつでも相談に応じます。
また講演会・ワンポイントアドバイスなどを通して子育てについて随時支
援していきます。
〇 利用できる人・・・小学校入学前の子どもとその保護者(おじいちゃん・おばあちゃんと
一緒でも利用できます)
(町立図書館(まちとしょテラソ))
・ 小布施町図書館は、2006年に制度が創設された「Library of the Year* 」において表彰
された実績があります。
*アメリカ・ドイツ・日本の3カ国がそれぞれ、先進的な活動を展開する図書館を表彰する
制度です。
我が国では2006年に制度が創設されました。
「本を介して、人と繋がる・楽しむ場」という「人(の個性、繋がり)に価値」を置く図書館
です。
*野木町図書館のような従来型の図書館は、本という「物に価値」を置き、本という物の
「品揃えの多さ、価格の安さ=無料」を重視し、その結果「豊富な蔵書から、本を静かに
読む場、無料で本を読める、借りられる場」という価値観から生まれています。
・ まちとしょテラソ建設の背景
(図書館の歴史)
昭和54年、役場庁舎が新設されこともあり、図書館が3階に置かれました。
庁舎内という合理性はありましたが、利便性に欠け、狭あいであったこともあり、更には長野
県下では電算化が一番遅れてしまったこともあり、平成に入ると早くも独立建物としての図書
館が待望されました。
(新しい図書館の理念)
平成19年3月、「図書館のあり方検討会」から提出された報告書の内容を十分に尊重し、
住民懇談会や意見交換会などの意見を踏まえ、新しい図書館は「学びの場」「子育ての場」
「交流の場」「情報発信の場」を4つに柱として、「交流と創造を楽しむ、文化の拠点」を運
営の理念とすることとし、建設に向けて動き出しました。
(設計者と館長の全国募集)
設計は全国から166の応募があり、一次審査、二次審査を経て、最終的に5案を町民公開
のプロポーザル審査を行い、ナスカ―一級建築事務所・早稲田大学教授の古谷誠章氏に決定し
ました。
館長には、25人の応募がありました。
(新しい図書館の誕生)
町民約100人で組織する建設運営委員会で、古谷氏の設計案を様々な角度から意見交換し
て修正を施していきました。
平成27年7月、開館しました。
・ まちとしょテラソの運営
職員・・・任期付職員 1人(館長) 臨時・パート 7人
開館時間・・・午前9時~午後8時
休館日・・・火曜日(祝日の場合は開館。振替休日は設けない)
蔵書数・・・開架 約56,000冊 閉架 約40,000冊
登録者数・・・約9,600人(52%が町外の人)
利用状況・・・来館者数 平成25年 144,315人 平成26年 141,096人
貸出冊数 平成25年 86,665冊 平成26年 88,610冊
開館日数・・・平成25年 309日 平成26年 304日
・ まちとしょテラソの活動
(本と人をつなぐ場)
新たな作品・作家との出会いを演出。
① テラソ百選
毎月テーマを決め、スタッフ手作りのポップを添え、閉架を含めた書籍を展示。
3月「北陸を読む」、 4月「北斎と善光寺を読む」、5月「絵本を読む」など
② 本の福袋「読本来福」
本2冊を内容が推測できるキーワードを貼付し書名が分からないように包装。
包装を開くときのわくわく感を演出。
正月3日から実施し、50セット作ったが、好評で20セット追加。
③ スタッフお薦め本コーナー
推薦文をつけて展示。
④ 追悼コーナー
「悼む 高倉健」高倉健主演の原作本を集めた。
(本を介して人と人をつなぐ場)
① 図書館まつり
重複本の無料配布「ブックリサイクル」、おはなし会の皆さんによる「読み聞か
せ」、ひとり語り「耳なし芳一」、メンコ・ビー玉などの「昭和の遊び」指導、伝統
文化体験「能楽を体感しよう」、パラソルの下でコーヒーを飲みながら読書「カフェ
テラス」などを行った。
平成27年度は、8月と10月に実施。
② まちじゅう図書館
酒屋・味噌屋・銀行・郵便局・カフェなどの一角に、仕事に関係する本やオーナー
の趣味の本を並べて、訪れる人と本を通しての交流を図る。
テラソ開館から2年後今から4年前、とりあえずオーナー所蔵の本を並べることか
ら始めることとし10館でスタートし現在、15館で展開中です。
(創作活動・表現活動を応援する場)
① 創作童話「花の童話大賞」の公募
7歳から92歳まで全国から1,040編の応募があり、フランス・カナダなど海
外からも6編の応募がありました。
町内からは小学生28編を含む58編の応募がありました。
大賞には賞金10万円のほか、挿絵をつけた本を贈呈し、2冊作成し1冊は図書館
に、最終審査に残った30編は「花の童話大賞作品集」としました。
* 予算額 130万円(企画・材料・賞金を含む)。
審査はプロ作家の野上一平氏にお願いしました。
② ワークショップ「ほんと話そう よむ・かく・つくる」
本を読んだら、今度は自らが書いたり、描いたり、作ったり、演じたりしてもらい
たいということから、本に関係するワークショップを開催しました。
「かたりべ養成講座」「一茶でアート」「ハーブオイルつくり」「筆で年賀状つく
り」などを開催。
③ 絵画などの展示
絵画展や押し花作家の作品展を実施しています。
(子育ての場)
① おはなし会
ボランティアの皆さんによる「読み聞かせ会」を月2回開催しています。
② 小・中学生対象ワークショップ「テラソで部活」
テラソ美術部、テラソ科学部、テラソ文芸部
◆御代田町
(町の概要)
・ 昭和31年9月に「小沼」「御代田」「伍賀」の3村合併して誕生し、平成28年9月、町制施行6
0周年を迎えました。
・ 標高838.15mの位置にあり、日本屈指の活火山である浅間山(標高2,568m)の南麓に広
がる地域にあります。
大気は澄み渡り、気候は内陸の高原地帯にあるため年間を通じて冷涼であるが寒暖の差は大きいです。
降水量は年間1,200㎜前後と少なく、風は季節ごとに趣を変え、四季をつうじて自然が織りなす折
々の変化に出会えることができます。
長野県の東の玄関口にあたり、東は軽井沢町に、西は小諸市に、南は佐久市に、北は群馬県嬬恋村の2
市1町1村に接しています。
総面積は58,79㎢
・ 平成26年10月1日現在、人口 15,072人、世帯数6,038世帯、平成22年時点になり
ますが、産業別人口 第1次10.1% 第2次31.3% 第3次55.2% 分類不能3.4%で
あり、高原野菜の栽培、精密機械工業、食品製造業などの産業を基盤として発展してきています。
・ 平成28年度一般会計予算(当初)は7,449,440千円です。
特別会計は9会計合計で、3,889,170千円です。
(議会の概要)
・ 議会費は76,910千円(平成28年度)です。
・ 条例定数は14人、現議員数は14人です。
・ 常任委員会は、総務福祉文教、町民建設経済の2常任委員会で、各7人で構成されてい
ます。
・ 議会運営委員会は定数4人で構成します。
・議員報酬
議長 290,000円 副議長 220,000円 議員 195,000円
常任委員長 204,000円 議運委員長 204,000円
・政務活動費
月額 6,000円を4月に一括払い(72,000円)
・議会事務局
事務局長(1)・・・ 書記(1)
(子育てガイドブック)
・ 年齢に応じた各種サービス等について、「健康」「制度・手続き」「子育て」別に提供サービスが一
覧で分かるようにページが設けられるなど工夫されています。
・ 「もくじ」を参考に示します。
☆年齢に応じた各種サービス等・・・P2
☆1 妊娠したら・・・P4
☆2 赤ちゃんが生まれたら・・・P5
☆3 予防接種について・・・P8
☆4 健康診査の受診について・・・P9
☆5 健康相談・訪問・育児教室・・・P11
☆6 子どもの病気と応急手当・・・P13
☆7 保育園について・・・P15
☆8 幼稚園について・・・P18
☆9 その他の保育について・・・P19
☆10 就学児童の放課後の居場所・・・P20
☆11 つどい・ふれあい・交流の場・・・P20
☆12 病気・障害のあるお子さんの支援・・・P24
☆13 ひとり親等家庭への支援・・・P26
☆14 児童虐待について・・・P27
☆町内遊場、病院施設等MAP・・P28
☆関係機関一覧、施設等・・・P29
☆子育てガイドブック早見表・・・P31
・ 独自施策としましては、
〇「健康」について、「3~6歳」の世代において「5歳児健やか教室・相談」を実施。
対象者:5歳児と保護者
内 容:5歳児の健康づくりと子育て相談等を実施します。
・5歳児・・・絵本の読み聞かせ、サーキット運動等
・保護者・・・子育て・就学等についての個別相談、歯科講話
・5歳児・保護者合同・・・親子遊び等
〇「制度・手続き」について、「3~6歳」の世代において「子育て応援金」を実施。
対象者:3歳に達した子どもを養育されている方(1月1日現在で町内に居住されている方です。
1月中旬に各ご家庭に通知します。)
支給額:一児ごとに2万円が支給されます。(1回のみ)
必要な物:申請書、請求書、申請者の身分証明書、通帳のコピー等
〇「子育て」について、
「6カ月」の世代において「ブックスタート」を実施。
対象者:10カ月児~11カ月児
内 容:10カ月児健康診査の受診時に町から絵本を差し上げます。
「小学校 中学校 高校」の世代において「セカンドブック」を実施。
対象者:小学校1年生の児童
内 容:本を1冊贈呈します。
同世代において「考古学ひろば」を実施。
対象者:小学校4~6年生
内 容:年5~7回開催。考古学体験学習を通じ、郷土の文化、歴史への関心と理解を高めます。
同世代において「子ども自然探検隊」を実施。
対象者:小学生
内 容:年5回(5~11月)開催。地域の自然を探検し、その大切さ、すばらしさを学びなが
ら人間関係の形成を養います。
(教育大綱)
・ 教育大綱の基本的な考え方
「地方行政の組織及び運営に関する法律の一部改正」が平成27年4月1日に施行されたました。
この改正法では、地方公共団体の長が、その地域の実情に応じ、教育、学術及び文化の振興に関す
る総合的な施策の基本方針を教育大綱として定めることとされています。
平成27年度に「第5次御代田町長期振興計画」を策定したことから、この基本構想に掲げた
「次世代・郷土を担う人を育み文化のかおるまちをつくります」を基本として教育大綱を定めるこ
とを総合教育会議において協議し、「御代田町教育大綱」を定めたものです。
そのため、以下のような広範囲な項目から構成されています。
第1節 地域や子どもたちの実態に応じた活力ある学校づくりの推進
第1項 幼児教育の振興
第2項 義務教育の振興
① 学校教育の充実
② 学校給食
第2節 いきいきとした生活を楽しむための充実した生涯学習の推進
① 生涯学習
② 図書館
第3節 スポーツへの主体的な取り組みの推進
第1項 生涯スポーツの振興
第2項 スポーツ施設の整備
第4節 人権が尊重される明るいまちづくりの推進
〇 人権教育、啓発
第5節 文化・芸術の織りなす地域づくり
〇 文化・芸術活動
〇 文化財保護事業
*「野木町教育大綱」については、大綱の中で「未来を担う子どもたちにこれを引き継ぐためにも、
次のような理念のもとに野木町の教育を進めてまいります」と書かれているように対象は子ども
であり、子どもの教育の基本理念を中心に定められていますので、御代田町教育大綱とは大きく
異なるものとなっています。
(御代田町複合文化施設 まなびの館 エコールみよた)
・ 複合文化施設といわれているように当館内には、あつもりホールという多目的ホールに加え、図
書館と浅間縄文ミュージアム博物館が併設されています。
・ 基本的なコンセプトは、人が集い交流する場の提供にあります。
(追伸)
・ 今回の視察で感じたことは、両町に共通した町づくりのコンセプトの存在と、そのコンセプト
に基づいた一貫した町づくり施策の展開です。
コンセプトは「人が集い交流する場」を提供することに集約されていると理解します。
小布施町の「子育て支援センター(エンゼルランドセンター)」「まちとしょテラソ」及び御代
田町の「まなびの館 エコールみよた」に共通的に通じるものです。
町の活性化施策の企画・展開はすべてこのコンセプトに基づいて展開されていることが、見て取
れます。
我が町における施策の展開に当たっては、これからもさらにより明確なコンセプトとそれに基
づく一貫した施策展開を、執行部に求めていきたいと思います。