栃木県町村議会議員研修会が開催されました!

 11月17日(金)に、平成29年度栃木県町村議会議員研修が開催されましたので出席してきました。
この研修会は、栃木県町村議会議長会が主催するものです。
当日は、全県下の11町(上三川町、塩谷町、高根沢町、市貝町、茂木町、益子町、芳賀町、壬生町、那須
町、那珂川町、野木町)の議員が対象です。

 研修会日程は、以下の通りです。
1.開式の挨拶
2.会長あいさつ
3.講演:「町村議会活性化と改革の課題」
     同志社大学大学院総合政策科学研究科
      教授 新川 達郎(にいかわ たつろう)氏
4.休憩
5.講演:「政治も行方を展望する」
     時事通信社解説委員長
      山田 恵資(やまだ けいすけ)氏
6.閉会の言葉


 以下に、講演の概要について記載します。

◇ 「町村議会活性化と改革の課題」について
 1.なぜ議会が問題なのか
  ・「見えない」議会は何をしているのか:見えない議会
  ・「開いていない」働いていない議会:開かれていない議会
  ・「分からない」働いていない議員:議員は何をしているのか:分からない議員
  ・「使い道が分からない」無駄に見える経費:議会費、議員報酬、費用弁償、政務活動費
  ・「非常識な」倫理観に欠ける議会・議員:スキャンダルと議会・議員:報道で強調
 ⇒ ①地方議会が機能不全に見える現象
  ・議案と議決:長の提案と議員提案
  ・政策問題は執行機関の提案への質疑
  ・議員提案は議会内向けのもの以外は少ない
  ・議会・議員相互の論争は外から見えにくい
  ②議会と執行機関の関係への疑問
  ・議会は行政となれ合い、行政監視をしていないと見える:不祥事を発見しない、できない
  ・地方議会の与野党化:二元代表制と矛盾する与党化
  ・執行機関頼みの議員活動
  ・地方議会の諮問機関化:議会民主制と矛盾
  ・独自性を発揮できない議会
  ③議会・議員活動への不信
  ・議会は何をしているのか:見えない議会
  ・働いていない議会:開かれていない議会
  ・働いていない議員;議員は何をしているのか:分からない議員
  ・無駄に見える経費:議会費、議員報酬、費用弁償、政務活動費
  ・倫理観に欠ける議会・議員:スキャンダルと議会・議員:報道で強調
  ④議会不要論
  ・機能不全で信頼できない議会
  ・住民参加でサービスを提供してくれる行政
  ・実際に権限を行使する首長
  ・町村長は選挙で選ばれる民主的代表
  ・もう一つの代表はいらない、役に立っていない
  ・議会への関心が薄れる、住民の心が離れてしまう
  ・議会は不要?直接参政の方法(住民総会)でよい

 2.地方議会活性化の要請とこれまでの議会改革動向
  ・「非難に応える」議会機能不全・議会不信・議会不要論に対応
  ・「議決機関として」地方議会活動の本旨の確認と再構築
  ・「会議運営、組織運営」議会の運営改善:効率、報酬や定数
  ・「開かれた議会」「透明な議会」住民との関係の再構築:見る、知る、分かる、批判し、評価ができる
    町民との関係づくり
⇒ ①なぜ地方議会活性化なのか
  ・議会の存在感の軽さ、知られていない議会
  ・議会批判・議員批判の増大傾向
  ・議会・議員の活動の低迷指摘の継続
  ・議員や議会に対する信頼感の低下・欠如
  ・地方議会の定数削減、報酬削減で十分な改革といえるのか
  ・議会機能不全論から議会不信論、そして議会不要論へ
  ・議員の社会的認知の低下、なり手不足:負の循環
  ・議会に代わる住民総会を検討?
  ②地方議会の活性化の課題
  ・地方議会の与野党化:二元代表制と矛盾
  ・地方議会の諮問機関化:議会民主制と矛盾
  ・議会の討論の不活発:学芸会批判
  ・議会活動や審議の不透明:情報公開
  ・政策立案の問題:政策条例提案活動不足
  ・調査権行使や監視の機能不全、不正の発見
  ・議会運営の無駄:効率、報酬や定数の削減
  ③地方議会の活性化の方向
  ・議会機能不全・議会不信・議会不要論に対応
  ・地方議会活動の本旨の確認と再構築
  ・議会の運営改善:効率、報酬や定数
  ・政策機能の発揮:議会の討論、審査機能の充実:議員による政策立案へ
  ・調査権の行使:監視機能、不正の発見
  ・住民との関係の再構築:見る、知る、分かる、批判し、評価ができる町民との関係づくり
  ④戦後地方議会制度改革の動向
  ・戦後改革と地方自治法制定
  ・地方議会権限の拡充:議会の議決権限拡大
  ・但し、日本における戦前の地方制度の連続:議会制民主主義に対する行政権の優位
  ・地方制度における首長主義の採用
  ・議会規定の整備国家模倣化
  ・第1次分権改革の議会改革、2000年、2006年、2011年、2012年、2017地方自治法
   改正
  ⑤監査制度の充実:議会と監査の見直し
  ・「条例で議員のうちから監査委員を選任しないことができる」(第196条第1項関係)
  ・当該条例の提出権は、長並びに議員及び委員会の双方に存するが、当該条例を制定するかどうかは、監
   査委員と議会の監視機能における役割分担の観点等を踏まえ検討されたいこと(平成29年6月9日総
   務大臣通知)
  ⑥議選監査委員の意義と問題
  ・議会から選出される議員の監査委員の重要性:議会の監視機能の拡大、執行機関としての監査委員制度
   を確立、長部局に対する独立性や権威を保つ
  ・現実問題:議会議員の役職の一つと捉えられて議会三役などとされ、4年間の任期を全うせず短期で交
   代する例がしばしば見られ、職責を十分に果たせていない、財務会計の専門能力が要求される監査委員
   の要件に適合しない
  ・制度上の矛盾:地方自治体の期間という意味で議員を委員にすることは結局内部統制にしかならない
  ・その一方で監査委員としての守秘義務が課されることから議会の監視機能に貢献できるところは少ない
   との問題指摘

 3.議会活性化と改革への取り組み状況とその課題
  ・議会改革が当たり前に:7割以上の議会は改革を実行
  ・政策問題を議論することができる議会
  ・執行機関の政策や施策、事業の実施をチェックすることができる議会
  ・住民との関係を改善することができる議会
⇒ ①議会改革の現状
  ・全国で進む議会改革の取組(自治体議会改革フォーラム調べ)
  ・議会改革が当たり前に:7割以上の議会は改革を実行
  ・議会基本条例制定は約45%に(2017年3月):都道府県と都市は6割以上にて制定
  ・町村の議会基本条例制定団体は287で31%とやや少ない
  ・これからは議会基本条例の保守管理問題へ:改正理由から議決事件の追加変更は93団体、住民参加条
   項は38団体で、299団体で改正経験
  ②政策形成と議会改革(2017年3月)
  ・28年度の議員、委員会提案条例で政策的なものの提案は8.6%の議会、可決は6.2%:政策的条
   例の事後点検を行った団体15.0%
  ・都道府県や大都市では進みつつある議員提案の政策条例
  ・執行機関への議会からの政策提言、議会と執行部との政策対話や定期会合、常任委員会また特別委員会
   から提案
  ・議会側の体制整備政策提言のための委員会等の設置へ
  ③長提案への対応
  ・首長提出議案への修正案:提出は2割、終生可決は1割の団体で
  ・長提案議案を議会意見により取り下げ再提出・可決した団体4.3%
  ・長の提案への議会議員等による修正案提案団体18.3%
  ・修正提案の可決があった団体9.4%
  ・予算修正は少数
  ・執行機関提出条例議案修正は少数
  ・長提案議案否決の有無:1割の議会で経験
  ④議会による政策評価と監視
  ・議会による事務事業評価、施策評価、政策評価の実施の増加 ただし8.8%
  ・事務事業評価3.6%、施策評価1.2%、行政計画評価2.1%
  ・決算委員会審査における評価の活用
  ・議会による自治体計画評価も増加傾向
  ・事業仕分け:少数ながら議会で実施開始
  ・議会主催の事業仕分けパターン:①議員が仕分け人、②有識者と議員が仕分け人
  ⑤議会審議の方法の改善(2017年3月現在)
  ・一問一答方式の導入:一般質問か代表質問で導入している団体は82%以上
  ・反問権(逆質問)明文規定している団体は50.5%
  ・この1年で反問(逆質問)が実際に行われた団体14.8%
  ・議員間の自由討議を条例や会議規則で明文化した団体38.9%
  ・この1年間に本会議又は委員会で自由討議を実施した団体22.1%
  ・議員個別の賛否の公開をしている議会57.4%

 4.会議公開、透明性確保と住民参加による議会活性化
  ・議会の会議公開:原則公開、委員会、協議会の公開へ、会議資料の傍聴者配布
  ・議会の情報公開:不服審査制度による客観性確保
  ・戦略的情報提供:議会広報の編集や特集づくり、ホームページの充実、インターネット中継、SNSの
   活用
  ・住民との双方向のコミュニケーション:パブリックコメント制度、公聴会、参考人制度の活用、議会報
   告会
  ・住民参加による議会審議の活用化:住民参加型の委員会運営、住民参加による議会の政策形成
⇒ ①会議の公開(2017年3月)
  ・傍聴者への資料公開:議員と同じ資料を配布団体27.3%、何らかの資料提供をする団体69.2%
  ・常任委員会会議録:全文記録をホームページ上で公開25.0%、要点や概要など何らかの形でHPに
   公開は31.6%
  ②公開性・透明度の高い議会へ
  ・議会の会議公開:原則、委員会、協議会の公開へ
  ・情報公開:不服審査制度による客観的性確保
  ・戦略的情報提供:議会広報、ホームページの充実
  ・住民との双方向のコミュニケーション:パブリックコメント制度、公聴会、参考人制度の活用、議会報
   告会
  ③議会への住民参加(2017年3月)
  ・議会によるパブリックコメントの実施団体6.0%
  ・議会モニター等の制度の導入団体3.8%(広報、報告会支援1.5%
  ④住民参加と地方議会
  ・住民参加の観点から地方議会を考える
  ・住民参加、住民自治を議会から進める
  ・議会による住民意見聴収と反映:公聴会、参考人、請願等意見聴収、住民発言機会
  ・住民参加型外部知見の導入:参加型審議会
  ・出前議会、出張議会、夜間議会、休日議会の開催、議会報告会開催へ
  ・パブリックコメント、世論調査で開かれた議会

 5.これからの議会改革化と改革の基本的考え方
 (1)地方議会活動の本旨を考える:審議か、議決か、監視か
  ・議会の運営、審議、調査権の行使
 (2)地方議会の役割変化を考える:代表機関か、付属機関か
  ・自立機関、実施機関、能力ある機関へ
 (3)議会機能の強化を考える:何を強化するのか選択と集中
  ・議員提案、審議機能、調査監視機能の強化課題
 (4)住民等とのパートナーシップ型の議会へ:外からの協力を得て資源不足を補う
  ・他機関、市民(NPO)との協働、アドボカシー(政策提言)機能との連携、市民参加、住民投票への
   対応
 (5)議会力、議員力をつける:審議の能力向上
⇒ ①これからの地方議会を考える手がかり1
 (1)地方議会活動の本旨を考える:審議か、議決か、監視か
  ・議会の運営、審議、調査権の行使
 (2)地方議会の役割変化を考える:代表機関か、付属機関か
  ・自立機関、実働機関、能力ある機関へ
  ②これからの地方議会を考える手がかり2
 (3)議会機能の強化を考える:何を強化するのか選択と集中
  ・議員提案、審議機能、調査監視機能の強化課題
 (4)住民等とのパートナーシップ型の議会へ:外からの協力を得て資源不足を補う
  ・他機関、町民(NPO)との協働、アドボカシー(政策提言)機能との連携、町民参加、住民投票への
   対応
  ③議会力・議員力をつくる、つける
  ・審議、議決をする能力:討議の力、判断力
  ・問題発見、課題設定をする能力、提案力、代替案の選択力
  ・政策形成をする力:政策分析・評価能力、業績測定能力
  ・住民代表能力:市民ニーズの把握力、情報受発信能力、コミュニケーション力

 6.議会活性化に向けた自己改革の要点
 (1)住民との信頼関係を回復する議会
 (2)制作能力が向上した議会、政策能力を示すことができる議会
 (3)外部の力を活用して監視、調査、審議ができる議会
 (4)すぐに取り組む、そして進め続ける議会活性化、議会改革:緩めると後退する改革
⇒(1)議会の自己改革:
  ①住民との信頼関係を回復する議会
  ・住民に開かれた議会:住民との双方向のコミュニケーションがある議会
  ・住民参加による責任を持って住民対応する体制づくりへ:窓口、事務局、会派、各議員の対応の改革
  ②政策能力向上の観点から
  ・地方議会の政策立案機能の発揮の体制づくり:特別委員会、政策会議等の審議、調査、研究を進める体
   制
  ・執行機関の政策形成過程と議会の関わり:情報交換、勉強会、公聴会、報告聴収
  ・政策形成の支援機能:議会事務局、会派政党活動、外部の知識経験、市民団体の活用
  ③監視・調査・審議のためのパートナーシップ
  ・議会事務局の体制強化
  ・議員個人の政策能力:調査、立案、審議
  ・政党会派の力:調査能力、審議能力
  ・住民組織、民間事業者、NPOとの協力関係:協働とアドボカシー(政策提言)の活用
  ・民間シンクタンク活用と委託
  ・行政評価の活用と評価への参加
  ・外部の専門的知識の活用
  ④すぐに取り組む議会活性化
  ・すでに進めてきた活性化、改革を緩めないこと:議会基本条例を改革推進の原動力に
  ・公開性・透明性の向上を常に:審議の公開度向上
  ・議会、委員会の政策形成、監視機能の支援体制作り:議会事務局体制整備、専門的知見活用
  ・議会・議員力の能力向上プログラム:体系的実践的な研修や研究を

◇ 「政治の行方を展望する」
  今般の衆議院議員選挙における小池希望の党元党首を巡る政治の動きについて講話があった。
 すでにテレビ等で伝えられているレベルの情報を中心にしたものであり、余り目新しい情報はなかった。
 憲法改正論議に関連しては、安倍首相は希望の党を友党と考えているとのこと。
 この関連で公明党は微妙な関係である。

(追伸)
 議会活性化と議会改革の課題については、議員個人と議会の双方の観点で取り組む必要があることを再認識
できました。
これらの課題については議会基本条例を策定する過程で議員間で議論を行い実践していくことを認識合わせし
たところでありますが、その後の推移からは必ずしもその取り組みが進んでいると自信をもって言えるか疑問
と言わざるを得ません。
野木町議会の現状は、一部の議員は個人活動を中心に行動しており、議会という組織面での活動については関
心が薄いように見受けます(あくまでも私の感想です)。
また、議員の役割として監視機能を発揮していると自負されている議員が居られます。
講話中にもありましたが、監視機能ということでただ問題だと質せばよいということではなく、個々の議員の
審議機能の充実と議会としての調査監視機能の強化を図ることが必要だと考えます。
 やらなければならないことやるべきことは明確になっていますので、後は実行あるのみです。
議会基本条例を策定したときの熱意と勢いをもって対応していきたいと思います。

参考情報:ホームページのP1/8に投稿しました「1期目議員としての概観(前文、その1議会、その2議
     員、その3行政)を参照していただければ幸いです。