令和4年10月20日(木)~21日(金)の日程で、議会運営委員会の所管事項調査を実施しました。
調査事項は「議会改革の取り組みについて」というテーマで実施し、長野県軽井沢町と同県飯綱町を訪問しま
した。
具体的な調査事項は、以下の通りです。
1.軽井沢町
(1)通年議会の導入について
2.飯綱町
(1)政策サポーター制度の導入について
(2)議会だよりモニター制度について
〈 軽井沢町 〉
◆出席者(敬称略)
野木町議会
黒川 広(正) 折原 勝夫(副) 坂口 進治 鈴木孝昌 松本 光司 小泉良一
金谷 利至(事務局長)
軽井沢町議会
土屋 好生(議長) 遠山 隆雄(副議長) 川島 さゆり(議運副委員長)
荒井 和彦(事務局長) 児玉 直美(事務局係長)
◆町の概要
位置 長野県の東端、群馬県境に位置し、浅間山(標高2568m)の南東斜面、標高900~1000
m地点に広がる高原の町であり、保健休養地として発展してきていることもあって観光客は、年間
で5,635千人(令和3年)となっています。
面積 156.03k㎡
人口等 19,188人(令和2年国勢調査)、世帯数8,586世帯
歳入・歳出
歳入総額(普通会計) 19,172,689千円 うち地方交付税 48,187千円
歳出総額(普通会計) 17,874,675千円
財政力指数 1.65 経常収支比率 71.4 将来負担比率 ―
*以上は令和2年度ベース
町の花・木 さくらそう・こぶし・あかはら
・鳥
◆議会の概要
議員定数 条例定数 16人 現在数 15人
任期 平成31年4月30日~令和5年4月29日
党派・ 無所属 8人 共産党 1人 公明党 2人 立憲民主党 1人 「考」3人
会派別
年齢別 年齢40歳代1人 50歳代4人 60歳代5人 70歳代5人
最年長72歳 最年少48歳 平均 62.6歳
性別内訳 女性 4人 男性 11人
委員会 常任委員会(総務:8人、社会:8人、予算決算:15人、広報公聴:8人)
議会運営委員会:5人
特別委員会(議会活性化:7人、庁舎改築周辺整備事業検討:14人)
議長・副議 地方自治法上は4年となっているが、申し合わせにより2年。
長の任期
常任委員等 条例により2年
議会事務局 職員数:4人 (事務局長1人 係長1人 職員2人)
報酬 議長:365、000円 副議長:296,000円
常任・議運委員長:278,000円 議員:261,000円
(参考:三役報酬)
町長:854,000円 副町長:700,000円
教育長:623,000円
政務活動費 1人当たり月額8,300円(年額99,600円
費用弁償 支給していない
議会予算 令和4年度当初予算 111,216千円
その他 インターネット配信、有線放送配信
次に、視察概要について報告します。
1. 通年議会の導入について
(1)導入の経緯
招集権については、地方自治法第101条において規定されているが、議長に臨時会の招集請求権を
付与し、首長に請求しても20日以内に招集しない場は、議長に招集権を与えると規定されているため、
今は議長に招集権があるというが、正々あるわけではないため、これはおかしい!という疑問認識に立
ち、「国はなかなか自治法を見直さない、ならば現行制度の中でできないか」との考えから、「現行制
度の中で、招集権を自分たちの手に取り戻し、かつ議会の権利機能を取り戻す」ため、通年議会の導入
を検討し、 導入に至ったとのことです。
◇導入プロセス
① 導入内容検討:
平成21年10月に特別委員会を設置し、検討を開始。
② 制度試行
平成22年3月から試行。
③ 正式運用
平成23年3月から本実施。}
(2)検討の着眼点
① 現状の定例会方式では、
・議会の権利機能は会期中に限られているため、閉会中であるため、行政側に資料を要求しても、断ら
れる(善意で出してもらっているだけ)、又閉会中は公務災害の適用がされない。
・議会継続審査の申し入れが必要なため、活発な委員会運営がなされない。
② 通年議会の制度では
・通年議会を導入し、議会の閉会期間を無くすと、議会が主体的・機能的に会議を開くことができる。
(3)結論
① 導入前と異なるのは、臨時議会が無いということだけ。
② 議員の負担は増えない。
③ 議員歳費は増えない。
〈 飯綱町 〉
◆出席者(敬称略)
野木町議会
黒川 広(正) 折原 勝夫(副) 坂口 進治 鈴木孝昌 松本 光司 小泉良一
金谷 利至(事務局長)
飯綱町議会
渡邉 千賀雄(議長) 原田 幸長(副議長) 清水 滿(議運委員長) 青山 弘(総務産
業委員長) 中井 寿一(福祉文教委員) 石川 信雄(機会だより委員長)
梨本 克裕(事務局長)
◆町の概要
位置 長野県の北部に位置し、東西に13.9㎞、南北に15.6㎞となり、西・南は長野市、北は
信濃町、東は中野市に隣接する、飯綱山から斑尾山までの穏やかな丘陵地で、町の地形はすり
鉢状をなし、底辺部となる町の中心には鳥居川が流れています。
面積 75.00k㎡
人口等 10,579人(令和4年9月末)、世帯数4,225世帯
歳入・歳出
歳入総額(普通会計) 11,097,803千円 うち地方交付税 3,572,191千円
歳出総額(普通会計) 10,302,073千円
財政力指数 0.27
経常収支比率 84.6
将来負担比率 5.3
*以上は令和2年度ベース
町の花・木 りんご・さくら
◆議会の概要
議員定数 条例定数 15人 現在数 15人
任期 令和3年10月30日~令和7年10月29日
党派別 無所属 12人 日本共産党 2人 公明党 1人
年齢 40歳代1人 50歳代1人 60歳代5人 70歳代8人
最年長77歳 最年少46歳 平均 69.1歳
性別内訳 女性 3人 男性 12人
委員会 常任委員会(総務産業:7人、福祉文教:7人、予算決算:14人)
議会運営委員会:6人
特別委員会(議会編集調査:6人)
議長・副議 地方自治法上は4年となっているが、申し合わせにより2年。
長の任期
常任委員等 条例により2年
議会事務局 職員数:2人 (事務局長1人 職員1人)
報酬 議長:288、200円 副議長:220,500円
常任・議運委員長:210,700円 議員:198,000円
(参考:三役報酬)
町長:689,400円 副町長:584,200円
教育長:509,500円
政務活動費 1人当たり年額120,000円(平成29年9月臨時議会で可決)
費用弁償 支給していない
議会予算 令和2年度決算額 75,217千円
その他 タブレット活用 インターネット配信、有線放送配信
次に、視察概要について報告します。
1.政策サポーター制度の導入について
(1)議会改革の切っ掛け
飯綱町は、2006年(平成17年10月1日に牟礼村と三水村の2村が合併して誕生したが、
その際に第三セクター「飯綱リゾート開発(株)」が経営破綻し、金融機関から裁判を起こされ
全面敗訴の結果、当時としては巨額の金額である8億円を支払うことになり、町政への住民から
の厳し批判とともに、議会のチェック機能は果たされていたのかという議決責任と説明責任が問
われる事態が生じたことを受け、これを議会改革のチャンスとして捉え取り組むこととなりまし
た。
(2)議会改革の経緯
① 全世帯対象に議会活動に対する住民アンケートを実施したところ、75%の住民から議会・
議員に対して厳しい評価が示される結果を受けることとなったため、この現実から議会改革を
出発することとなりました。
② 平成20年1月から、半年間で30数回の学習と自由討議を重ね、目指す議会像と8項目の改
革課題を整理し、同年8月に議会だよりを発行してこれらを実行することを宣言し、平成20年
9月議会から実践することとなりました。
議会像の6点
一 住民に開かれた議会
二 町長と切磋琢磨する議会
三 活発な討論が展開される議会
四 住民の声を行政に反映する努力を貫ける議会
五 飯綱町の住民自治発展の推進力となれる議会
六 政策提言のできる議会
改革課題の8項目
一 一般質問に一問一答方式を導入、町長には反問権を認める。
二 町民に対して議会の議決責任と説明責任を果たす。
三 議会への住民参加を広げる。
四 議会の情報公開をさらに進める。
五 議員の資質向上に努め議員同士の自由討論を活発に行う。
六 議員の政策立案能力を高め、政策提言、条例制定などに取り組む。
七 行政への批判と監視機能を一層強化する。
八 政務活動費を条例化し、政策研究、町民への広報活動等に活用する。
③ 4年余の議会改革の実践の成果も踏まえて、平成24年9月定例会で「議会基本条例」を制定し、
さらに新しい地方議会創りを目指すこととなりました。
□ 主な特徴的条文
・「町民と議会との懇談会」等町民参加の推進(第6条)*
・政策サポーター制度(第7条)
・災害等への対応(第9条)*
・議会白書、議会の自己評価(第16条)
・議長、副議長志願者の所信表明(第18条)
(注)*印の項目は野木町議会でも実施
(3)導入の背景
① 住民自治の根幹としての議会として、議決機能、監視機能に加え第3の機能としての政策立案・提
案機能の重要性が高まっており、「チーム議会」としての政策力が問われる時代になってきているこ
と、また地方分権の進展による「地方の自主性・自立性の拡大」への対応として、地方議会の在り方
が問われていることなどから、町長に政策提案のできる議会力・議員力の向上(理論・政策水準)を
図り、政策で町長と善政競争をする議会へ変革していくことが必要でした。
② 開かれた議会とするためにも議会活動への町民参加を広げる必要があり、また定数が減る中で、町
民の知恵も借りて政策づくりを協働ですすめるうえから、政策サポーター制度を新設し実践してきて
います。
費用弁償として、1回4,000円を支給しています。
(4)制度の概要
➀ テーマ決定は議会が行う(常任委員会や議会全員協議会等で議論)。
↓
② テーマの概略を議会報に発表し、政策サポーターを公募する(1回あたり12~16名程度)。
この間、応募者が少ないので、議会として、年齢・地域・男女等を考慮して、議員が手分けして町民
に要請する。
↓
③ 政策サポーターが決定したら、一人ひとりに議長から委嘱状を渡し、政策提言づくりの議論を開始
し、1テーマにつき7~8回の議論を重ね、提言書にまとめる(座長は常任委員長)。
↓
④ 政策づくりの議論ポイントは、
・現状把握と分析(事務局は関係資料を準備)
・問題点の解明
・行政が取り組むべき政策課題を整理する。
整理を進めるうえではサポーターの役割、議員の役割と責任を明確にする。
↓
⑤ その後、議員は予算審議、一般質問等で議論を進め、町長に実現を求める。
↓
⑥ 議会としては、さらに条例づくり等へ進む。
2.議会だよりモニター制度について *要綱では広報モニターという
(1)目的
「飯綱町議会だより」が住民との結びつきをより強め、住民の意見を議会報編集や議会活動に反映
させることを目的として、議会広報モニターを設置しています。
(2)組織等
モニターは、飯綱町に在住する者とし、ミニターの選考は、議長及び議会広報編集特別委員がこれ
にあたり、その任期は2年歳、再任は妨げません。
(3)任務
随時「飯綱町議会だより」の内容及び編集について議会報編集調査特別委員会に意見を提言すると
ともに、議会活動全般について住民の意向を反映するほか、議会報編集調査の依頼に応じてモニター
会議、座談会への出席、アンケートへの回答及び調査事項への協力を行うものです。
(4)費用弁償
費用弁償として、1回4,000円を支給しています。
3.その他の取組事項
(1)模擬議会・休日・夜間議会の開催
開かれた議会、議会への住民参加を広げ「議会の見える化」に取り組んでいます。
現在は、休日・夜間議会は時間外や稼働の問題で中止とのことです。
「飯綱町へ15歳の提言」として中学生議会を開催し評判がよかった。今後は、高校生を対象とした
模擬議会を計画する方向とのことです。
(2)飯綱町議会白書の発行
平成28年発行の平成27年度版議会白書は127ページで、平成28年度版以降は、議員個々の自
己評価を掲載しています。
〈 感想・意見 〉
今回の視察研修で強く感じたことは、いずれの議会においても真の二元代表制議会としての議会機能と議
会責任を果たすため、議会としてどうあるべきかという観点から議会改革に積極的に取り組まれているとい
うことです。
また、そのためには、従来の議員個々の議会活動に加えて「チーム議会」としての政策力の強化と議員力
の向上が求められるということです。
我が野木町においてもすでに実施している改革もありますが、今回の視察研修を踏まえさらに野木町議会
基本条例の精神に立ち返って議会改革に向けた活動を議員一丸となって、すなわち「チーム議会」として取
り組んでいく決意を持つことが不可欠であり重要であると、あらためて議会運営委員会として認識した次第
です。