令和5年度 総務経済常任委員会行政視察の報告!

 令和5年10月31日(火)~11月1日(水)の2日間の日程で、今年度の総務経済常任委員会の所管
事項調査が実施され、委員として参加しましたので、その模様を報告します。
 調査事項は委員会で検討した結果、「商店街の活性化について」ということになりました。
その目的に沿って委員会メンバーで検討し、視察先は、山梨県昭和町と埼玉県寄居町に決めました。
 具体的な調査事項は以下のとおりです。
昭和町については、
 ・大型店舗が多く立地している環境下での地元商店街の活性化について
 また、
寄居町については、
 ・町の商業活性化の取組について
です。

〈 昭和町 〉
 ◆ 出席者(敬称略)

  野木町議会 
   坂口 進治(委員長) 黒川 広(副委員長) 舘野 孝良委員 
   舘野 崇泰委員  折原 勝夫委員  野田 光則委員
   松本 光司委員(議長) 
   行川 遥子議会事務局主査

  野木町執行部職員
   野澤 宏次(課長補佐兼収税係長) 相川 卓也(補佐兼消防防災交通係長)
   小野 芳之(契約管財係員:運転手)

  昭和町役所・商工会・議会
   今村 圭一(環境経済課長) 
   加賀美 義正(商工会振興課長) 
   五味 隆(議会事務局長) 花形 裕紀(議会事務局員)
   田中 みさ子(議会事務局員)

  次に、訪問先において説明を受けた内容について概要を報告します。
 ◆ 町の概要
 ・ 昭和町は甲府盆地の中央に位置し山梨県内で唯一山のない町です。中央自動 車道甲府昭和インターチェン
   ジを有し山梨県の玄関口となっています。区画整理事業の進行や福祉・教育・子育て施策などの充実により
   山梨県内に誇る住みよい町として発展しています。
 ・ 町の木:乙女椿、町の花:レンゲ、町の鳥:ひばり
 ・ 総面積は9.08㎢、標高262m(町役場)となっています。
 ・ 令和5年10月末現在、人口 21,183人、世帯数9,564世帯
 ・ 産業別人口(R2国勢調査):計10,392人(100%) 第一次243人(2.3%)、
   第二次3,170人(30.5%)、第三次6,950人(66.9%)、分類不能29人(0.3%)
 ・ 令和5年度一般会計予算額は8,725,849千円(町税4,806、716千円:55.1%)で
   す。 
 ・ 普通交付税は0円(不交付団体)です。
 ◆ 議会の概要
 ・ 議会費は84,604千円(令和5年度)です。
 ・ 条例定数は14人、現議員数は14人です。
 ・ 常任委員会は、総務教育常任委員会7人、産業厚生常任委員会7人、広報
   編集常任委員会各6人で構成されています。
 ・ 議会運営委員会は定数7人で副議長、各常任委員長、議長経験者又は経験豊富な議員の中から選出しま
   す。
 ・ 特別委員会は、予算審査特別委員会 全員、決算審査特別委員会 全員
 ・ 委員等の任期は、議長及び副議長は申し合わせにより2年、常任委員会・
   議会運営委員会は委員会条例により2年となっています。
 ・ 議員報酬
   議長 280,000円  副議長 214,000円 
   議員 189,000円  
   常任委員会委員長 年額 61,000円 
   特別委員会委員長 年額 33,000円
 ・ 政務活動費
  議員一人あたり年額 60,000円を一括交付
 ・ 議会事務局 定数3人
   事務局長(1)・・・局員(2)
 ◆ 町の商業活性化の取組について 
 (1)商店街の現状について
    昭和町においてもともと商店街は存在していなかったが、土地区画整理にともないイトー・ヨーカドー
   や大型SC(イオンモール)等の大型小売店の出店が取りざたされ、多くの商業者が転廃業の危機にさら
   されることとなりました。
   このため、H18年度に「昭和町商業活性化基本計画」を策定し、地域の中小商業者が意欲を持って連携・
   共同し、経営を革新して、新たな視点で活性化していく事業を展開することとなりました。これにともな
   い、周辺に住宅地と商業圏が形成されています。
    また、土地区画整理の実施により住宅地や基幹道路の整備が行われて生活する上での利便性が高まり、
   教育費関係の充実や国母、釜無工業団地の整備による働く場の確保と相まって人口が増えています。
   ① 人口と商業数の推移
      平成21年(2009年) 事業所数1,385事業者 人口17、010人から年々増加して、
     令和3年(2021年)事業者数1,762事業者 人口20,966人となっています。
   ② 人口と商工会員数の推移
      平成30年度末(2018年度末)商工会員数1,043会員 人口20,277人から年々増加
     して、令和4年度末(2022年度末)1、152会員数 人口21,090人となっています。
   ③ 土地区画整理と大型店の進出
     1期目 イトー・ヨーカドー
     2期目 イオンモール
      *土地区画整理の実施にあわせて進出
 (2)町の取組について
   ① 行政と商工会が一体となった地域振興事業
     商工会として平成19年度に一店逸品事業への取り組みを開始しました。事業コンセプトは、大型店
    の相次ぐ出店に負けず、地元の商店が活性化し、一店逸品運動を通じて商店街のない昭和町前提を一つ
    の商店街にするもので、その取組内容は、・逸品創出支援(専門家派遣等、臨店指導)H19~・一店逸
    品カタログの発行H19~・逸品フェアの開催H29~・昭和町一店逸品オンラインモールR3~となってい
    ます。
     この一店逸品事業は、15年を数え、その実績から、行政からも本事業は地域振興に欠かせない事業
    として位置づけられる事業となっており、その結果、行政から商工会に対する期待・信頼が高まってき
    ました。そして、行政からの支援が行われています。
   ② 町の補助金制度の充実
    ・昭和町商業活性化人材育成事業費補助金の交付(一般補助金と別枠、H20年度から毎年100万円)
    ・昭和町第6次総合計画の商業振興施策の方針に「一店逸品事業の活用・推進」記載(H28年度)
    ・昭和町中小企業・小規模企業振興基本条例の制定(H30年度)
    ・第2次経営発達支援計画の策定(令和元年度)
    ・事業継続力強化支援計画の策定(令和2年度)
    ・昭和町小口資金制度の拡充(令和2年度)
    ・昭和町持続的発展支援補助金(昭和町版持続化補助金)の創設(令和2年度)
   ③ 町のハードウェア、ソフトウェア面での支援
     ハードウェア面では土地区画整備事業による基幹道路の整備と学校の整備、ソフトウェア面では教育
    費の手厚い手当の充実を図っています。
     *小学校2校→3校へ、中学校1校→1校へ(全体3校から4校体制へ)
   ④ 起業への支援
    ⅰ 創業塾
    ・特定創業支援事業の一環として、開業を目指す方と創業2年以内の方に対し、創業や経営に関する基
     礎知識の習得や課題解決等を目的に開催。
    ・中小企業診断士を講師に創業計画書を策定。
    ⅱ ワンストップ創業相談窓口(個別指導)
    ・特定創業支援事業の一環として、開業を目指す方に対し、商工会経営指導員と中小企業診断士を講師
     に創業計画書の策定支援をおこなう。
      (開催時期等)随時開催、全5日間(2時間)
             R4年度・・・3名、R5年度・・・3名(9月末)
    ⅲ 各種補助金申請支援
    ・上記、創業塾等を受講し創業計画書を策定した事業者に対し、小規模持続化補助金(創業枠)等の補
     助金の視線支援を実施。
    ⅳ 昭和町創業者利子補給制度
    ・町内で開業し、商工会の支援のもと国・県の創業関連融資制度を利用した方に、利子補給を実施。
     *利子補給内容
      ・利子補給額:対象融資の返済を開始した月から1年以内に支払った利子の額
      ・限度額:10万円(一融資につき)
   ⑤ 大型SCとの協力体制の構築
    ⅰ 逸品フェアの成功
    ・定期的打合せ(5月)の開催、テナント会の総会に商工会長が出席(イオン)
    ・販売促進研修会の講師派遣(イオン)
    ・参加店のテナント入居・展示販売コーナーへの出品(ヨーカドー)3社
    ・催事への出店依頼(ヨーカドー、イオン)
    ・商工会事業への協力
    ・店内装飾業者の紹介依頼
   ⑥ 今後の展開と事業の実施体制
     一店逸品事業を通じ、小規模事業者の経営力強化を図り、「小さくともキラリ光る企業」をより多く
    輩出するために、寄り添った伴走型支援を行っていく。
    ・「魅力ある商品・サービス」づくり
    ・参加店のプロモーション支援
    ・逸品カタログと逸品オンラインモールの活用
    ・大型SCとの連携事業の推進
    ・SDGsの取得推進

〈 寄居町 〉
 ◆ 出席者(敬称略)

  野木町議会 昭和町と同じメンバー
  寄居町役所・議会
         黒瀬 秀明(産業振興企業誘致課長)
         飯田 勝弘(同課商工振興企業誘致班主査)
         笠原 則夫(議会副議長)  
  次に、訪問先において説明を受けた内容について概要を報告します。

 ◆ 町の概要
 ・ 町は、埼玉県の北西部、荒川が秩父山地から関東平野に流れ出すところに位置する町です。
 ・ 地形は大別すると西部の山地と東部に開けた平野部とからなっており、さらにその中が、西から東へ流
   れる荒川によってつくられた河岸段丘による起伏のある地域や、北部の利根川流域となる台地上の地域
   等、複雑な地形を呈しています。
 ・ 行政的には、明治の町村制施行時に寄居町として誕生後、いくつかの合併の後、昭和30年に1町4か
   村が合併して現在の寄居町となり、2本の国道と3線の鉄道・8つの駅を持つ交通の要衝として、禁煙
   では彩の国資源循環工場や大手自動車メーカー四輪車生産工場が建設される等発展を続けてきています。
 ・ 一方、「全国名水百選」・「水の郷」・「水源の森百選」に認定される水環境や、国史跡「鉢形城跡」
   に代表される歴史環境等多くの恵まれた環境を有する町としての一面もあわせもち、環境との調和を目
   指したまつづくりをすすめています。
 ・ 総面積は64.25㎢です。
 ・ 令和5年4月1日現在(住民基本台帳)、人口 32,106人、世帯数14,930世帯です。
 ・ 町の木:やまざくら、町の花:かたくり、町の鳥:きじ、町のシンボルカラー:えんじいろ
 ・ 産業構造(令和2年 国勢調査):第1次産業 244人(4.1%) 第2次産業 1,479人
   (32.3%) 第3次産業 5,172人(63.5%) 分類不能 199人(3.0%)
 ・ 令和5年度一般会計予算(当初)は12,882,332千円です。
 ・ 町税は5,096,732千円です。
 ・ 地方交付税は1,510,000千円です。
 ◆ 議会の概要)
 ・ 議会費は124,789千円(令和5年度当初予算)です。
 ・ 条例定数は16人、現議員数は16人です(任期:令和9年5月14日)。
 ・ 政党別構成は共産党 2人 公明党 2人 自民党 3人 無所属 9人 合計16人です。
 ・ 常任委員会は、総務経済常任委員会 8人、文教厚生常任委員会 8人です。
 ・ 特別委員会は、第8次三ケ山地域開発調査特別委員会 9人、議会広報公聴特別委員会 8人
 ・ 議会運営委員会は6人で構成されています。
 ・ その他の委員会(地方自治法第100条第12項の規定により組織された委員会
   議会改革検討委員会 8人、ホンダ支援委員会 全議員
 ・ 議長等の任期
   議長・副議長   2年 
   常任委員会の委員 2年 (委員会条例)
   議会運営委員会の委員 2年
 ・ 議員報酬(月額)
   議長 310,000円、副議長 254,000円、委員長 239,000円
   議員 232,000円
 ・ 政務活動費  支給なし
 ・ 行政視察経費
  宿泊費  大都市(甲地方) 議長14,800円 議員13,100円
       その他(乙地方) 議長13,300円 議員11,800円     
 ・ 議会事務局 職員定数4人 
   事務局長(1)・・・次長(1)・・・書記(2)
   *監査委員・公平委員会・固定資産評価審査委員会の各事務局兼務
 ◆ 町の商業活性化の取組について 
 (1)商店街の現状について
    町内には2つの商店街「ふるさと寄居商店会」と「岩崎商店会」があります。
   ① ふるさと寄居商店会
     寄居駅を含む中心市街地を中心に構成されており、会員店舗数は45店舗(飲食・製造・小売は
    8店舗、その他は4店舗)で、寄居町商工会が事務局となっています。
     主な取り組みとしては、一店逸品事業のほか、寄居町商工会が行う「ふるさと祭典市」や街バル
    事業に協力を行っており、近年では、キャッシュレス決済導入に力を入れており、現在導入率94
    %となっています。
   ② 岩崎商店会
     東武東上線、玉淀駅周辺の地域で構成され、会員店舗数は10店舗(飲食・製造・小売は2店舗、
    家庭用品・日用品・薬局は3店舗、サービスは2店舗、その他3店舗)です。
     取り組みとしては、寄居町商工会が行う「ふるさとの祭典市」への出店、駐車場や看板の管理を
    行っています。
   ③ 大手スーパー
     町内には大手スーパーが3店舗ありますが、各商店街の店舗は、共存するためにはどうすればよ
    いかを考え経営しています。
     店舗の中には、付加価値を付けた商品として寄居町の特産品である豚の味噌漬けやホルモン等で
    売上を伸ばしているてんぽもあり、大手スーパーが人を引き付け、その中で差別化を図ったスーパ
    ーにはない個々の強みを伸ばせるように経営努力をしている状況です。
 (2)商店街の課題について
   ① 空き店舗の活用
   ② 新しい時代に対応した後継者・若手リーダーの育成
   ③ 経営者の高齢化による後継者の不足
    ・アンケート調査の結果では、後継者不在:82%、自分の代で廃業を検討:40%という状況で
     す。
   ④ 第三者への事業継承を考える形成者の増加
 (3)町の取組について
   ① 寄居駅南口周辺の中心市街地の活性化
     平成29年度に「寄居町中心市街地活性化基本計画(計画期間:平成30年度~令和4年度)」
    を策定し、平成30年3月に内閣総理大臣の認定を受け事業を進め、令和4年度にハード事業が完
    了しました。
     このハード事業では、中心市街地の回遊性向上のための整備や寄居駅南口へのつながる道路の複
    車線化(幅員16m)、駅前拠点施設「Yotteco」、賑わい創出交流広場「YORIBA」を整備したほ
    か、ソフト事業として、平成27年度より空き店舗活用補助金制度を制定し、中心市街地の空き店
    舗への立地に取り組んだ結果、現在までに12件の立地があります。
   ② 寄居町地域通貨「Yori-Ca」の導入
     寄居町独自の通貨で、スマホアプリやカードを利用した寄居町内のみで使えるキャッシュレス決
    済です。1ポイント=1円として買い物ができます。町内でお金が循環し地域全体を応援すること
    につながります。
    ・加盟店舗数  152店舗
    ・プレミアムチャージキャンペーン(令和5年2月15日~3月15日)  
     予算:39,000千円
     1,000円のチャージで300ポイントを付与   
    ・常時1%ポイント還元の開始
     6月から一部のポイント除き、利用時に1%還元を開始
      *キャンペーン等のない月でも平均して月に約450万円の利用があります。
    ・ヨリカ2周年プレミアムチャージキャンペーン(令和5年11月1日~12月25日)
     予算:130,000千円
     1,000円のチャージで300ポイントを付与(付与上限 1人あたり7,500ポイント)
   ③ 町の補助金制度の充実
     令和5年度の商工業振興事業補助金としては、以下のとおりです。
    ・経営改善普及事業:8,996千円
     商工会人件費に関する補助金
    ・商業振興事業:2,825千円
     内訳:ふるさとの祭典市:950千円
        よりい街バル:1,875千円
    ・工業振興事業:290千円
     内訳:販路開拓支援事業:180千円
        リフォーム需要獲得支援事業110千円
    ・総合振興事業:3,317千円
     内訳:賑わい創出販路開拓支援事業:2,500千円
        人材育成支援事業:90千円
        創業・新事業創出支援事業727千円
    ・商店会運営費補助金:250千円
   ④ 施策面での将来の方向について
    ・第6次寄居町総合振興計画では5年後の目指すべき姿として、町と商工会が協力し、中小企業の先
     導的役割を担い、経営改善や創業支援など的確な道標を示して、中小企業の経営安定化、市街地の
     発展に大きく貢献していくことを目指し、取り組むことにしています。
     その中で、先に記載した商工会の補助事業の他に、寄居町空き家店舗等活用補助金制度を設けて、
     町内の空き店舗、空き店舗併用住宅及び空き家の活用を促進しています。この事業の実施により、
     空き店舗の活用が進み、次世代の経営者へバトンが引き継がれ、中心市街地に賑わいが回復するこ
     とを期待しています。
     町としては、商工会が主体となり、製造加工業者など付加価値を付けた自社のオリジナル商品を販
     売することで、長く経営できるような事業者の誘致や、町外からの創業希望者を積極的に受け入れ
     るなどの取り組みにより、地域ブランド商品の創出やその商品を商店街ばかりでなく、広く扱って
     いくような活動などを通じて、商店街の活性化につなげることを期待しています。

   〈 研修結果 〉
  昭和町、寄居町ともにいえることは、町と商工会が本当の意味で一体となって商店街の活性化に取り組ん
 でいるということです。
  また、昭和町についてはもともと軒を連ねる商店街はなかった状態から出発して現在の商店街(広域街区)
 の形成があるということであり、まさに野木町の現状と同じ状態からでもやりようによっては商業(商店街)
 が活性化できるということが理解できました。また大型SCは阻害要因となるのではなく連携を図るなどやり
 方によってはお互いの利益と地域の活性化に貢献することにつなげられるということも解りました。
   また、寄居町については、土地区画整理や工業団地の整備、それに関連した宅地開発などを町の活性化に
 つなげる方向で計画づくりからスタートしており、我が町との違いはありますが、野木駅前にある未活用の
 空き地を活用した街づくりを行うことによって、町の活性化につなげられる可能性があるということを知る
 ことができました。 
  翻って、我が町を振り返って見たとき、20数年前に先輩方が残してくれた資産、財産に依拠した町政運
 営になっているようにおもわれます。
  今回の視察で知ることができた視点で見直してみることは町の将来にとって極めて重要であると考えます。