「お年寄りに住みやすい環境の実現について」一般質問を行いました。

 平成27年6月定例議会は、6月9日(火)〜16日(火)の9日間の会期で開催されました。
議会日程として10日(水)、11日(木)の2日間に一般質問が行われ、私は最初の質問者として10日午前10時から登壇しました。
 今般の質問は、「お年寄りに住みやすい環境の実現について」という要旨で行いました。

 今年度は、国の方針である地方創生戦略の推進に対応すべく野木町版総合戦略を策定することになっていますが、その主眼は人口増加策とこれに関連した地域活性化策にあると言えます。
 これまでも少子高齢化社会の動向に対応した政策が推進されてきていますが、今般の創生戦略は正に少子化に焦点を当てたものであり、その意味ではもう一方の高齢化策がややもするとなおざりになる懸念があります。
 わが野木町においては、後段の質問で触れますが、少子化問題と同様に高齢化問題も喫緊の課題であります。
団塊の世代が集住しているローズタウン等を抱えるわが町にあっては、先送りできる問題ではありません。
  先を見通した高齢化対策を一層積極的に推し進める姿勢を執行部に喚起し、そのための具体的な施策を訴求しました。


 以下に、壇上において行った総括質問とその後の個別質問の全容について記述します。
今回の掲載にあたっては、質問に限っています。

(総括質問の全容)
 まず一点目の視点から質問します。

 国の「まち・ひと・しごと創生法」の制定により全ての都道府県・市区町村は遅くとも今年度中に、「地方版人口ビジョン」と「地方版総合戦略」を策定するよう努力義務として課せられています。これに伴い、わが町においては今年10月を目途に現在、「野木町人口ビジョン」及び「野木町総合戦略」の策定に取り組んでいるところです。
 この創生法が制定されることとなった背景については、すでに新聞・テレビ等で詳報されているところですので、皆さまもご存じのことと想いますが、昨年5月に日本創生会議が、消滅可能性都市を含む衝撃的なレポートを取りまとめました。これがきっかけとなり、政府においても、人口減少克服に向けた政策推進が位置づけられることとなったものです。
 きっかけからも分かると想いますが、今般の地方版総合戦略の策定の主眼は人口減少克服とそれを踏まえた地方創生にあります。
 従いまして、今般の総合戦略は基本的には、これまでにも取り組まれてきた少子化対策の延長にある政策と考えられます。

 ところで、わが町においては、もう一つ差し迫った課題があるのではないでしょうか。それは、少子・高齢化と言われてきた一方の高齢化への対処の問題です。
 あらためて、わが町における高齢化の状況を調べたところでは、平成27年4月30日現在(住民基本台帳調べ)で全町民25,857人に占める65歳以上の町民の数は6,651人、率にして25.7%で約4人に1人です。これが、10年後の2025年(国立社会保障・人口問題研究所予測)には、全町民23,768人に占める同町民の数は8,332人、率にして35.1%となり、約3人に1人が65歳以上の高齢者になると予想されています。
 加えて、このような高齢化の進展により高齢単身世帯や高齢夫婦世帯の増加が予想されます。特にこの傾向は、「団塊の世代」が2025年に75歳以上になることから、一時期に転入・集住したローズタウンにおいて著しい現象となって顕在化してくるものと予想されます。
その現象としては、ローズタウン等で起きる一斉の高齢化や多くの空き家の発生等が想定されます。

 これら想定される現象に対応していくためには、今から高齢化に向けて住まいの新たな展開を図ること、すなわち多様な住まい・住まい方の実現を図ることが必要と考えます。
 ついては、次について伺います。
 (1)安心・快適に老後を過ごせる住環境の多様化が必要と考えるが、町として考える取り組みは何
    か。

 次に二点目の視点から質問します。

 わが町における平均寿命は、平成22年市区町村別生命表の概況によれば、男性79.4歳、女性86.2歳となっており、男女とも栃木県の平均寿命(男性79.1歳、女性85.4歳)を上回っていますが、残念ながら全国平均(男性79.6歳、女性86.4歳)には及ばない状況です。また「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義される健康寿命は、平成22年時点で男性78.7歳、女性83.8歳であり、男女とも県の平均値である男性77.9歳、女性82.9歳を上回っており、県内では男性は第3位、女性は第2位と上位に位置しています。

 これら平均寿命と健康寿命の延伸の取り組みについては、国の「健康日本21(第2次)」、県の「とちぎ健康21プラン(第2期計画)」及びわが町においては「野木町健康増進計画(改訂版)」により展開されてきています。平均寿命と健康寿命が伸びることには誰しも異論を挟むことはないと思います。
 しかしながら、社会的な動物と言われる人間としては、単に健康で生活することができればよいと思う人ばかりではないでしょう。日常の生活を送るにあたり健康である限りは、自分の生き甲斐を追求したい、また社会に貢献したいと考える町民が、数多く居られることと推察します。

 これらの町民の要望に応えていくことは、個人の満足感を充足するということだけではなく、今後のわが町の進むべき方向を考えあわせると自治基本条例を策定しているところでもあり、なお一層積極的かつ体系的に取り組んでいく必要があると考えます。
 ついては、次について伺います。
 (2)いきいきセカンドライフの実現に向け、町として考える取り組みは何か。


(個別質問の全容)
1.まず、「(1)安心・快適に老後を過ごせる住環境の多様化が必要と考えるが、町として考える取
 り組みは何か」に関連してお尋ねします。

 ① 平成27年5月6日水曜日の下野新聞の掲載記事によりますと、サービス付き高齢者向け住宅の  
  県内での登録が2014年度末に県内101カ所3千戸を突破したそうです。
   同記事によりますと自治体では、宇都宮市で最も多く、那須烏山市、益子、茂木、市貝、芳賀、
  野木6市町を除く19市町で登録されているとのことでした。
   この記事に関連してお聞きします。
   まず、サービス付き高齢者向け住宅とはどのようなものなのか、伺います。

 ② 野木町において登録されていないのはなぜでしょうか。その理由は行政側にあるのか、または
  介護事業者にあるのか、伺います。

 ③ 先ほど、総括質問で伺ったことに関連しますが、住環境の多様化を考える上でサービス付き高齢
  者向け住宅は、わが町において重要な選択肢の一つと考えられないのでしょうか。

 ④  私としては以前から、わが町の状況を考えるとサービス付き高齢者向け集合住宅いわゆるサービ
  ス付き高齢者向けマンションの建設を、行政主導で進めるべきとの考えを持っています。
   総括質問でも述べましたが、ローズタウンにおいては一斉の高齢化や多くの空き家の発生等が想
  定されます。この問題に対処する上で有効な手段の一つになり得ると考えています。
   ローズタウンにお住いの町民の方々からは、高い持ち家率と今住んでいる本町に住みたいという
  強い意向をお持ちになっているという声を耳にします。
   同時に、持家を子孫に残すという考えもあるが、それよりも持家を対価として活用し、介護が必
  要となる前の身体的に健康な時期に、将来必要になるであろう介護サービスの備えを具備した施設
  に移り住みたいという要望があることを、拝聴しています。
   サービス付き高齢者向けマンションの計画を進めるにあたっては、行政のみならず地元の介護
  事
業者、建設事業者、不動産業者などとのビジネス連携を構築することにポイントがあります。
  
 この事業の推進により得られる経済効果は、単に構造物を建設するために生ずる効果に限らず、
  介護職の雇用の場や地元農産品の地産地消などに波及します。また、対価として提供された持家に
  ついては、リフォーム後に若年世代向けに出来るだけ低廉な価格で提供することで、若年層の流入
  を図る有効な方策になり得るものと考えます。正しく野木町の活性化につながる施策と考えます。
   町長、いかがでしょうか。

 ⑤ 今提案したサービス付き高齢者向けマンション構想も住環境の多様化の一つですが、この他にも
  今住んでいる家に住み続けたいという強い意向を示される町民の方も居られると想います。
   今までも在宅介護のサービスはありますが、要支援や要介護に認定されてからの身体的に必要に
  迫られた上でのサービス享受になります。
   高齢者が今住んでいる家を支障なく過ごせる家とするために行う住宅改修を支援する仕組みを用
  意することも必要ではないかと思います。現状はどのようになっているのか、伺います。

 ⑥ 高齢者が持家で生活していく上では日用品や必需品を買い物する必要があります。自家用車を自
  らが運転し買い物に行くことや買った品物を運ぶことが段々に困難になるかと想像されます。
   町は、何か対策を考えているのか、伺います。

 ⑦ 同様に、自力でゴミを出せない独り暮らしの高齢者が増えると予想されますが、町は、何か対策
  を考えているのか、伺います。

 
2.次に「(2)いきいきセカンドライフの実現に向け」に関連してお尋ねします。
 
 ⑧ 町は、ふれあいサロン事業の実施に力を入れているようでありますが、一方では従来から組織化
  されている老人会の加入者が減ってきている傾向が出てきています。
   町は、ふれあいサロンと老人会のそれぞれが果たす役割をどのように考えているのか、伺いま
  す。

 ⑨ 町は、老人会とどのように係わっていく考えなのか、伺います。

 ⑩ 自治基本条例を策定しているところでもあり今後は、地域活動の中で住民の果たすべき役割はま
  すます重要になると思います。高齢化世代の増加と勤労世代の減少化が同時並行で進展するこの時
  期にあっては、わが町においても地域活動を担っていく主体は高齢者に依存せざるを得ないと考え
  られます。
   そのためには、地域活動の運営方法に関する知識やモチベーションを有する高齢者を多く育成し
  ていくことが求められます。

   その意味で、県シルバー大学校に倣った野木町版シルバー大学校の創設を提案します。県シル
  バー大学校OBにその運営を任せたらどうでしょうか。
   町長、いかがでしょうか。

 

 これまで質問してきた事項は、これから到来するであろうわが町の高齢化時代に向けて喫緊に対処す
べき課題と認識します。
 少子化対策としての野木町創生戦略の策定・推進と併せて、高齢化対策が強力に推進されること期待
しまして、私の一般質問を終わりとさせていただきます。